債務整理をしたい方

任意整理にかかる費用から安く抑える方法まで全解説

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任意整理をすると、借金の利息をカットしてもらうことができて借金の総支払額が減りますし、月々の返済額も減ってとても楽になりますし、必要書類も少なく、手間もかからないので、多くの人が利用して借金問題を解決しています。

しかし、任意整理をするにも「費用」がかかってしまいます。「お金がかかりすぎるなら、任意整理なんてできない…」と思ってしまう方もいるでしょう。

そこで今回は、
・任意整理にかかる費用
・費用を安く抑える方法
・費用を用意できない場合の対処方法
についてどこよりも詳しく説明していきます。

Contents

1.任意整理にかかる費用の種類

任意整理をする時には大きく「実費」「弁護士費用」の2種類がかかります。それぞれについて確認しましょう。

まず、実費とはに事件処理を進めるために必要な費用のことです。たとえば郵便切手代やコピー代、通信費用や印紙代などです。
ただし、任意整理の場合には、実費はほとんどかかりません。

次に、弁護士費用とは護士に手続を依頼したときにかかる費用のことです。任意整理をするとき、主に問題になるのはこの弁護士費用です。

2.任意整理でかかる「実費」について

まず、任意整理をするときに具体的にはどのくらいの実費がかかるのか見ていきます。

任意整理をするときにかかる実費は少ないです。まず、債権者との郵便のやり取りが必要になるので、そのための郵送費用がかかります。

内容証明郵便を使ったら1件数千円くらいになりますが、使わなければ1社について1000円程度でおさまるでしょう。(たとえば、相手に対して取引履歴の開示請求をするときなどに内容証明郵便を送付することもありますが、必須ではありません)

あとは、合意書に貼り付ける収入印紙(1件200円程度)がかかるくらいです。

そこで、任意整理をするとき、実費としては、債権者数や内容証明郵便を利用するかどうかにもよるのですが、5000円~10000円くらいの範囲に収まることが多いです。

このように、任意整理においてかかる実費はとても安いといえます。

3.任意整理でかかる「弁護士費用」について

次に、任意整理の主な費用となる弁護士費用にはどのようなものがあって、どのくらいかかるものかを順番に見てみましょう。

3-1.法律相談料

弁護士費用には、「法律相談料」があります。これは、弁護士に借金問題の相談をしたときにかかる費用です。

どこの事務所でもだいたい30分5000円(+税)となっていて、延長をするとその分追加となります。

ただ、法律相談料については無料にする方法がたくさんあるので、実際には支払いをせずに済ますことができるケースが多いです。

3-2.着手金

次に、「着手金」があります。これは、弁護士に何らかの事件対応を依頼するときに、当初に支払わなければならない費用です。

任意整理の場合には、弁護士に依頼して債権者に受任通知を送ってもらうタイミングで、着手金を支払わなければなりません。着手金の支払をしないと、弁護士は実際に活動を開始してくれないので、注意しましょう。

また、着手金は通常一括払いとなり、契約を途中で解消したり、任意整理が失敗したりしても返ってくるものではありません。

任意整理の着手金の相場は、債権者1件について2万円~4万円です。

たとえば、債権者が5件の場合、着手金が1件2万円の事務所に依頼したら、着手金は10万円(2万円×5件)となりますが、着手金が1件4万円の事務所に依頼したら、着手金は20万円(4万円×5件)になります。

3-3.報酬金

任意整理を弁護士に依頼すると、「報酬金」がかかるケースがあります。

報酬金とは、弁護士に何らかの事件対応を依頼して事件が解決されたとき、その解決内容に応じてかかってくる費用です。

任意整理の報酬金には「減額報酬金」「基本報酬金」「過払い報酬金」の3種類があるので、以下で分けて説明します。

減額報酬金

まずは、「減額報酬金」があります。これは、弁護士が債権者と話合いをすることによって借金の返済額を減額できたとき、その減額の度合いに応じてかかる費用のことです。

減額報酬は、減額できた金額に対するパーセンテージで加算され、そのパーセンテージの相場は、減額できた金額の5%~10%程度となっています。

たとえば、もともと借金が100万円あったところ、弁護士に依頼して借金が80万円に減額された場合、減額報酬のパーセンテージが5%の事務所なら、減額報酬金は20万円×5%=1万円、10%の事務所なら20万円×10%=2万円となります。

なお、減額報酬金は、かかる事務所とかからない事務所があります。

減額報酬なしの事務所に依頼したら、交渉によって借金を減額してもらえても、弁護士に報酬を支払う必要はありません。

基本報酬金

次に、「基本報酬金」という報酬金もあります。これは、任意整理によって相手と「合意ができたこと」自体に対して発生する報酬金です。

基本報酬金の相場は1件2万円です。

そこで、5社を相手に任意整理をして、無事に全て合意ができたら、2万円×5社=10万円の基本報酬金が発生します。

過払い報酬金

最近では減ってきているのですが、任意整理をしているとき、債権者に対して過払い金請求ができるケースがあります。

過払い金請求とは、平成20年頃より昔に、サラ金やクレジットカードのキャッシング取引を長期にわたって利用していた人が、相手業者に対して払いすぎた利息の返還を請求することができる手続きです。

昔は利息制限法を超過した利率で貸付が行われていたため、その頃に取引をしていた人は、利息を支払いすぎており、借金の元本を完済してなお利息を払いすぎている可能性があるのです。

任意整理をするときには、利息制限法への引き直し計算をするので、過払い金が発見されて、その取り戻しをすることができるケースがあります。

この場合、過払い報酬金がかかります。

これも、減額報酬と同じように、回収できた過払い金の金額に応じてパーセンテージで計算されます。相場としては、回収できた金額の15%~20%程度になることが多いです。

たとえば、相手から100万円の過払い金を回収することができたとき、過払い報酬が20%の事務所なら20万円の報酬金がかかることになります。

4.任意整理の弁護士費用について知っておくべきこと

このように、任意整理をするときかかるのは主に弁護士費用ですが、弁護士費用については押さえておくべき知識があります。さっそく確認していきましょう。

4-1.着手金無料の弁護士は必ずしも安いとは限らない

任意整理をするとき、基本的には「着手金」がかかります。

ただ、弁護士費用の体系は、各弁護士事務所が自由に設定することができるので、中には「着手金無料」の事務所があります。

着手金無料の事務所を利用すると、当初に一括でお金を支払う必要がないので、手元にお金がない人でも任意整理を弁護士に依頼しやすいです。

ただ、着手金無料の弁護士は、必ずしも弁護士費用が「安い」とは限りません

というのも、弁護士もボランティアで仕事をしているわけではないので、着手金を無料にしているなら、その分他の部分で報酬をとっているからです。

具体的には、報酬金を高めに設定していることが普通です。

まず、着手金無料の弁護士の場合には、ほとんど必ず基本報酬金がかかります。「着手金無料で基本報酬金が2万円」だとすると、結局は「着手金が2万円で基本報酬金なし」の事務所と同じ金額になるのです。結局、着手金として支払うのか、報酬金として支払うのかの違いだけです。

また、着手金無料の事務所は、減額報酬の設定をしていることも多いです。そうなると、「着手金が2万円で基本報酬金や減額報酬金がゼロ」の事務所の方が、かえって安くなることもあるのです。

このように、着手金無料の弁護士は、当初の支払いをしなくて良いので楽ですが、全体の費用として考えると、必ずしも「安くはならない」ので、十分注意しましょう。

4-2.弁護士費用を払いタイミング

次に、弁護士費用をいつ支払うのか?という問題があります。

これについては、基本的に「費用が発生したとき、その都度」となります。

たとえば、法律相談料であれば、弁護士に借金の相談をして、法律相談が終わったタイミングで支払います。

着手金であれば、弁護士と任意整理についての契約をして、正式に依頼したときに同時に一括払いします。

報酬金は、債権者と合意ができて、合意書を作成し、事件が解決したときに支払います。

任意整理の場合、複数の債権者を相手にするので、債権者によって事件解決のタイミングが異なります。
たとえば、A社とは2ヶ月で和解ができても、B社とは4ヶ月後ようやく和解できたということもあります。そのような場合は、報酬金も、債権者ごとに請求されることが多いです。

4-3.弁護士費用の支払い方

次に、弁護士費用をどのようにして支払うのか、その支払い方法をご説明します。

基本的には現金で支払いをします。たとえば法律相談料については、相談が終わったときにその場で現金を支払います。

クレジットカードなどを利用できる法律事務所は非常に少ないです。着手金や報酬金についても、現金で支払ったら領収証を渡してくれます。

ただ、着手金や報酬金については、銀行振込を利用することも多いです。弁護士事務所は振込先口座を用意しているので、振込先を確認して、送金をすることとなります。

着手金を支払わないと、事件に着手してくれない

ここで1つ、注意しておきたいことがあります。

それは、着手金を振り込みで支払う場合、振込が確認できないと弁護士が相手に受任通知を送ってくれないということです。

債務者は、借金に追われていてサラ金からの督促に疲弊していることが多いのですが、弁護士が債権者に受任通知を送ったら督促がぴたっと止まるので、非常に大きなメリットがあります。

ところが、着手金の送金が遅れると、受任通知が送付されずにいつまでも督促が続いて債務者が疲弊してしまいます。そこで、早めに受任通知を送ってもらいたかったら、送金にするよりも現金払いにした方が良いでしょう。

4-4.分割払いできるのか?

弁護士費用の着手金や報酬金は10万円~数十万円にもなるため、借金に追われている債務者にとっては高額だと感じるのが普通です。

一括では支払えないため、分割払いにしたいと考えることも多いでしょう。弁護士費用を分割払いにすることは可能なのでしょうか?

弁護士費用の分割払いは、できる場合とできない場合があります。弁護士事務所によっては分割払いを受け入れていることがありますが、受け入れない弁護士もいるからです。

そこで分割払いを希望する場合には、弁護士との当初契約時において、費用の分割払いができるのかどうかを確認しなければなりません

また、分割払いができるとしても、どの程度の分割払いができるのかが問題です。

たとえば、20万円の弁護士費用がかかるとして、毎月10万円ずつの2回払いと言われるのと、毎月4万円の5回払いと言われるのとでは、債務者の負担が全く異なるためです。

どのくらいまでの分割を認めてもらえるかについても、依頼先の弁護士事務所によって異なるので、話合いによって決定しましょう。

なお、弁護士との話し合いによって分割払いを認めてもらえる場合、通常月々数万円(3万円~)になることが普通です。毎月1万円やそれ以下などでは受け入れてもらいにくいので、覚えておきましょう。

4-5.分割払いを利用する際の注意点

ここでは分割払いを利用する際の注意点について説明します。

支払いを遅延してはいけない

分割払いを利用する際、1つ注意すべきことがあります。それは、分割払いを遅延したときの問題です。

分割払いをするとき、着手金を分割にすることが多いのですが、その支払いを途中で止めると弁護士が仕事を途中で止めてしまうおそれがあります

そうなると、任意整理がそれ以上進まなくなりますし、最悪の場合、弁護士が辞任してしまって、債権者から債務者宛に借金の督促が来る状態に戻ってしまうこともあります。

そこで、着手金を分割にしたときには、滞納をせず、必ず約束通り支払うことが重要です。

債権者と合意するまでに分割払いを終える

また、着手金の分割期間にも注意が必要です。

任意整理をしたときには、借金が0になるわけではないので、手続き後も債権者に対して支払いを継続しなければなりません。

そのとき、まだ弁護士費用に分割払いを続けていたら、毎月「弁護士費用の分割分+債権者への支払い」の合計額が必要となって、大きな負担がかかってしまいます。結局支払いが困難になって、任意整理に失敗してしまう例もあります。

そこで、弁護士費用を分割払いにする場合には、債権者への支払いを開始する前に弁護士費用を支払い切る内容で、計画を立てる必要があります

このあたりの具体的な支払い方法については、依頼する弁護士と相談して決めると良いでしょう。

5.弁護士費用のモデルケース

ここまで任意整理の弁護士費用について相場や注意点ご紹介してきましたが、具体的には、どのようなケース(事務所)があるのでしょうか?

以下で、モデルケースをご紹介します。

5-1.A事務所

着手金 債権者が1社:3万円
債権者が2社以上:1社について2万円
減額報酬 なし
基本報酬 1社について2万円
過払い報酬 回収した過払い金の20%

こちらの事務所は、着手金が1社について2万円で安いのですが、その分基本報酬金が1社について2万円となり、合計すると1社で4万円かかります。減額報酬金はありません。

過払い報酬は20%なので、標準的です。

5-2.B事務所

着手金 債権者1社について4万円
減額報酬 なし
基本報酬 なし
過払い報酬 回収した過払い金の20%

こちらの事務所は、着手金は1社4万円なので高いですが、その分基本報酬金がないので、結局総額としては、A事務所と変わらない金額となります。

過払い報酬は20%であり、標準的です。

5-3.C事務所

着手金 無料
基本報酬金 債権者が1社:3.5万円

債権者が2社以上:1社について2万円

減額報酬 5%
過払い報酬 回収した過払い金の15%

こちらの事務所は着手金無料です。

しかし、基本報酬金が、1社について2万円かかります。A事務所やB事務所の場合、総額では1社について4万円かかるので、C事務所はこれらの事務所より安くなります。
また、減額報酬がかかるので、大幅に減額が見込まれる場合には、報酬金が高くなる可能性があります。

過払い報酬は15%となっており、相場としては低い基準です。

このように、相場の範囲であってもさまざまな費用設定方法があり、どの事務所を選ぶかによってかかる金額が大きく変わってくることがわかります。

任意整理を依頼する事務所を選ぶときには、慎重に検討する必要があります。

実際に弁護士費用を安くする方法については次で解説していきます。

6.任意整理の弁護士費用を安くする方法

次に、任意整理でかかる弁護士費用を安くする方法を、ご紹介します。
これらの方法は、任意整理の費用が用意できない場合にも役立つので、是非とも参考にしてみてください。

6-1.複数の弁護士事務所を比較する

任意整理に限らずどのような事件にも共通する考え方なのですが、弁護士費用を安く抑えたければ、複数の弁護士事務所を比較することが必須です。

弁護士費用は、それぞれの弁護士事務所が独自に定めているので、依頼する事務所によって具体的な金額が変わってきます。

先に説明をしたように、着手金無料だからといって必ずしも安いとは限りませんし、先ほどのA事務所からC事務所の比較からもわかるように、ケースによって高額になる事務所とそうでない事務所が異なることもあります(ある人にとって安い事務所が、別の人にとっても安い事務所とは限らないということです)。

そこで、依頼先の弁護士事務所を選ぶときには、必ず複数の弁護士事務所で話を聞き、自分のケースでどのくらいの費用がかかるのかを聞いて、具体的な見積もりを出してもらいましょう

いくつかの事務所から見積書を出してもらったら、それらを比較して最も安くなりそうな事務所に依頼すると、費用を抑えることができます。

6-2.全体の費用が安い弁護士を選ぶ

弁護士事務所を安く抑えたい場合には、「全体の費用」を考えることが大切です。

たとえば、着手金無料の弁護士でも、基本報酬や減額報酬がかかるとかえって高額になることがありますし、過払い金が発生する事案では過払い報酬が高額だと、金額が上がります。

そのため、「着手金」「減額報酬」「基本報酬」「過払い報酬」のすべてに着目して、全体の費用が最も低額に抑えられそうな事務所を選ぶことが重要です。

6-3.減額報酬、基本報酬がかからない事務所を選ぶ

弁護士費用を安く抑えたいなら、減額報酬金がかからない事務所を選ぶことをおすすめします。

減額報酬は、かかる事務所もあるのですが、かからない事務所もたくさんありますし、これを支払ったからと言って、弁護士のサービスが良くなるというものでもありません

減額報酬をとる事務所の弁護士が特に優秀ということもなく、任意整理に力を入れている弁護士でも減額報酬なしで営業しているところが多いです。

このように、減額報酬は支払ってもあまり意味の無い費用とも言えるので、なるべくかからない事務所を選んだ方が良いのです。

基本報酬についても似たことが言えます。

まず、基本報酬は着手金無料の弁護士の場合にかかることが普通です。着手金無料で基本報酬2万円のみ(減額報酬なし)であれば、費用としては安い方といえます。

これに対し、着手金もかかってプラス基本報酬もかかるという事務所は高いです。

そこで、基本報酬については、以下のように考えましょう。

  • 着手金無料の弁護士なら、基本報酬がかかってもよい(むしろそれが普通である)
  • 着手金がかかる弁護士なら、基本報酬がない事務所を選ぶ

そして

  • 減額報酬がかからない事務所を選ぶ

これが、弁護士選びの費用に関する重要なポイントとなります。

7.任意整理を自分でしたときと弁護士に依頼したときの比較

借金がある方は、ただでさえお金がないのだから、できれば弁護士費用など払いたくないことが多いでしょう。そこで、自分で任意整理をしようとする方もいます。

自分で任意整理をするのと弁護士に手続を依頼するのとでは、どのくらいの費用の違いが発生してくるのでしょうか?以下で見てみましょう。

7-1.自分で任意整理したときにかかる金額は?

自分で任意整理をするとどれだけの費用がかかるのか、見てみましょう。

この場合、かかるのは実費です。具体的には債権者に対して郵便を送る費用と印紙代です。

自分で債権者とやり取りをするときには、確実を期するため、内容証明郵便を利用すべきですから、弁護士に依頼するときよりも実費が多少高額になります。1社について、千円~2千円くらいかかりますし、場合によっては(数回内容証明郵便を利用した場合など)、3~5千円くらいかかる可能性もあります。

そこで、印紙代も入れて、だいたい1社について3000円かかるとしましょう。

これが、債権者の人数分かかると考えると良いです。

たとえば、債権者が4社なら、3000円×4社=12000円が必要です。

7-2.弁護士に依頼したときにかかる費用は?

それでは、弁護士に依頼するとどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

この場合も実費がかかります。ただ、弁護士に依頼すると、いちいち内容証明郵便を使わないことが多いので、実費としては、4社合わせても5千円程度で済むでしょう。

これに、弁護士費用がかかります。たとえば上記のA事務所の基準で計算をしてみると、着手金が2万円×4社=8万円、基本報酬金が2万円×4社=8万円で、合計16万円が必要です。

そこで、実費と弁護士費用の合計で、16万5千円がかかる計算となります。

自分で手続きを進めたら1万2千円ですから、10倍以上の金額の差が発生していることがわかります。

8.自分でする場合のデメリットについて

自分で任意整理をすると、大きく費用を抑えることができることがわかりましたが、たくさんの大きなデメリットがあるため、おすすめできません。

以下で、その内容を具体的にご説明します。

8-1.借金返済の督促が止まらない

任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士が債権者に「受任通知」を送ったタイミングで債権者から債務者への督促が止まります。

これは、貸金業法に、「弁護士が介入したら、債権者は債務者に直接取り立てをしてはいけない」という取り立て規制が定められているためです。

借金を滞納していると、債権者からの取り立てに疲弊していることが多いので、このように取り立てが止まることは、任意整理の大きなメリットと言われます。

しかし、自分で任意整理をしてもこの規定が適用されないので、債権者からの督促は止まりません。そこで、債権者から取り立てを受けながら、減額の交渉をしなければならないのです。

このようなことは非常に負担が重いですし、非現実的な作業となります。

8-2.スムーズに手続きができない

弁護士は、任意整理などの債務整理手続きに慣れているので、非常にスムーズに手続きを進めてくれます。依頼後3ヶ月もあれば、だいたい債権者との合意ができて、解決の目途が立ってくるものです。

これに対し、債務者は普通、任意整理などするのは初めてですし、どこからどのように手をつけて良いのかわからないことも多いです。

1つ1つの書類作成方法や、相手から届いた書類の読み方、意味などを考えて、手探りで作業を進めていかないといけません。

当然スピーディーに手続きを進めることなど不可能で、多くの時間が費やされます。弁護士に依頼したら3ヶ月で終わる手続きでも、自分ですると、半年や9ヶ月以上かかってしまうことが普通にあります

8-3.面倒な作業が多すぎる

任意整理は、自己破産や個人再生などの他の債務整理手続きに対し、簡単で手間がかからないと言われます。しかし、それは弁護士に依頼したときの話であり、債務者が自分で手続きを進めるには、大変な負担となります。

まずは相手に取引履歴開示請求書を作成して送付しないといけませんし、相手から開示された取引履歴を、専用の利息制限法引き直しソフトで計算し直さないといけません。

また、その後は返済計画を作って相手に提案をして、交渉を重ねていかないといけませんし、最終的に合意書を作成する必要もあります。それを、すべての債権者の人数分、しないといけないのです。

弁護士に依頼すると弁護士が代わりに手続きをしてくれますが、自分で任意整理をすると、これらの作業を全部自分でしないといけないのが大きなデメリットとなります。

8-4.交渉で不利になる

自分で任意整理をすると、相手との減額交渉も自分一人で行わないといけません。このとき、債務者として借金返済しなければならない立場でありながら、減額や支払い方法の決め直しの話をするというのは非常に厳しいです。

債務者は素人ですから自分の有利になるように上手に交渉をすることなどできません。相手の業者から言いくるめられて、不利な条件で和解してしまうことも多いです。

また、債務者本人が交渉をすると、落ち着きどころがわからないのでどこで合意して良いか判断できず、相手から何を言われても納得ができないまま交渉が決裂してしまうこともあります。そうなると、相手から裁判をされて給料の差押えなどをされてしまうおそれもあるのです。

このように、自分で任意整理をすすめると、デメリットが大きすぎます。効果的に任意整理を進めて、本当の意味で借金問題を解決したいのであれば、手続きを弁護士に依頼すべきです。

9.弁護士費用を用意できない場合の対処方法

「弁護士に依頼しなければならないと言われても、お金がないからどうしようもないじゃないか!」と考える方がいることでしょう。

そこで、以下では弁護士費用を用意できない場合の対処方法をご紹介します。

9-1.無料相談を利用する

まず、無料相談を利用することは鉄則です。

民間の普通の法律事務所でも、無料相談を実施しているところが多いので、インターネットなどで調べて無料相談が受けられる事務所を探し、申込みをしましょう。

法テラスでも無料相談会をしていますし、各地の弁護士会でも借金問題の無料相談を実施しています。

これらの中でも特におすすめなのは、ネットで弁護士事務所を探して無料相談を受ける方法です。

いくつかの弁護士事務所の無料相談を利用して話を聞くと、それぞれの弁護士のサービスや費用を比較できますし、分割払いや法テラスの民事法律扶助などに柔軟に対応してもらえる弁護士を探しやすいです。

もっとも費用を払いやすい事務所を探したら「お金がない」と思っていた人でも、支払える事務所が見つかることがあります。

9-2.法テラスを利用する

弁護士費用を用意できない場合、法テラスの利用を強くおすすめします。

法テラスとは、経済的に余裕がない人への法律的な支援を目的とした機関で、正式名称は「日本司法支援センター」です。国の機関なので、安心して利用することができます。

法テラスでは、無料相談も実施していますが、それよりも「民事法律扶助」というサービスの利用価値が特に高いです。

民事法律扶助とは、法テラスが弁護士費用を立替払いしてくれるサービスです。立て替えてもらった費用は、月々の分割払いで法テラスに償還していきます。償還金額は原則1万円ですが、苦しい場合には毎月5000円にまで落としてもらうことができます。利息は付きません。

これだけでもかなり楽なのですが、法テラスを利用すると、「法テラス基準」が適用されるため、かかる弁護士費用自体も非常に安くなります。具体的には、以下の通りです。

●任意整理の弁護士費用

債権者数 着手金 実費 合計金額
1~5社 108000円 25000円 133000円
6~10社 151200円 25000円 176200円
11~20社 172800円 30000円 202800円
21社以上 194400円 35000円 229400円

減額報酬や基本報酬はありません。

つまり、債権者が5社までなら「実費込みで」133000円、6社から10社までなら176200円で依頼できるのです

普通に弁護士に依頼したら、債権者10社の場合、着手金が3万円としてもそれだけで30万円かかるので、法テラスがどれだけ安いかわかるでしょう。

しかも、生活保護を受けている人の場合、月々の償還も不要になり、「完全に無料」で弁護士に依頼することができるのです。

法テラスを利用する方法

法テラスを利用したいとき、法テラスの無料相談を受けないといけないと思われていることが多いです。また、法テラスの紹介する弁護士しか利用できないと思われていることもあります。

しかし、上記はどちらも間違いです。

依頼者が選んだ弁護士が法テラスと契約をしていれば、その弁護士に、法テラスを使って依頼することができます。

そこで、ネットで弁護士を検索し、気になる弁護士の無料相談を受けて、その弁護士を気に入ったら「法テラスを使って受けてくれますか?」と聞いてみましょう。ここで弁護士が了承してくれたら、上記の法テラス基準で法テラスの分割払いを利用して、その弁護士に任意整理を進めてもらうことができます。

以上が、弁護士費用を用意できない場合の最も賢く効果的な対処方法です。

9-3.法テラスを利用できない場合の対処方法

法テラスを利用できれば一番良いのですが、法テラスの難点は、「資力基準」があることです。この基準により、一定以上の収入や財産がある人は、法テラスの民事法律扶助を利用することができません

このように、資力基準を超過している場合には、自分で支払える範囲の弁護士事務所を探す必要があります。

このとき、着手金無料の弁護士を利用するか、着手金を分割払いさせてもらう方法をおすすめします。

●着手金無料の弁護士を利用する方法

まず、着手金無料の弁護士であれば、当初の費用がかからないので、手元にお金がなくても依頼することができます。

あとは、事件進行中に債権者に支払いが不要になった分お金を貯めて、最後に報酬金を支払いましょう。

●着手金分割払いの事務所を利用する方法

任意整理を弁護士に依頼すると、毎月の債権者への支払いが不要になるので、それまで債権者に支払っていたお金が浮いてきます。

そこで、着手金を分割払いできる事務所に依頼して、浮いた金額を着手金の分割払いに充てたら、弁護士費用を支払うことができます。

実際に、任意整理後いきなり債権者への支払いが始まると、支払いを継続していけるかどうかが不安なので、弁護士費用の分割払いが手続き後の返済の予行演習的な役割もしてくる付属的な効果もあります。

このように、着手金無料か分割払いを利用すると、当初に手元にお金がなくても支払いがしやすいです。

9-4.親などに援助してもらう場合の注意点

任意整理には限らないのですが、弁護士費用の用意ができないとき、親や周囲の人に援助をお願いする方法があります。

ただ、親から借りると、他の兄弟から疎まれたり、遺産相続の際に問題にされてトラブルになったりすることがあります

他の人(恋人や友人など)に援助してもらった場合にも、「借り」ができてしまうので、関係が微妙に変化してしまうこともあります。また、お金を人に出してもらったら、本人に痛みがなく、反省しにくいので再度借金をしてしまうことも多いです。

そこで、こうした方法は、自力でどうしても費用を用意できないときの手段にしましょう。

9-5.友人に借りる場合の注意点

弁護士費用を友人や知人に借りる方法もあります。

任意整理では、個人再生や自己破産と異なり、すべての借入金を対象にしなくて良いので、友人からの借金を対象にせず、返済をしていくことができます。

ただ、友人から借りると、返済ができなくなったときに「話が違う」と言われてトラブルになったり人間関係が壊れてしまったりすることがあるので、注意が必要です。

友人に借りるのも、自力でどうしても費用を用意できないときの最後の手段とすべきです。

まとめ

今回は、任意整理の費用について解説しました。

任意整理の費用を安く抑えるには、複数の弁護士事務所を比較して、全体の費用が最も安くなるところを選びましょう。

どうしても費用を用意出来ない場合、資力がなければ法テラスを利用すれば良いですし、収入があるなら着手金無料や分割払いの弁護士を利用すると良いです。親や友人に援助してもらったり借りたりするのは、最終手段とすべきです。

これから任意整理をしようと考えているなら、是非とも参考にしてみて下さい。

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