差し押さえを回避したい方

相続時精算課税制度を利用して自宅の差し押さえを回避する方法

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s_相続時精算課税制度

贈与には、贈与税0円で贈与できる方法が2つあります。

その1つが今回説明する「相続時精算課税制度」です。

借金整理の過程で、将来、自宅が競売になる懸念のある方は、予めこの制度を利用することで、自宅の名義を贈与税0円で変えてしまい、金融機関からの差し押さえを回避できるメリットがあります。

今回は、相続時精算課税制度を利用して自宅の差し押さえを回避する方法について説明していきます。

 

1.相続時精算課税制度とは贈与税0円で贈与ができる制度

まずは、贈与の特例の1つである、相続時清算課税制度について説明をしていきます。

贈与とは、「自分の財産を無償で相手に与えること」です。

贈与には贈与税が発生しますが、以下2つの制度を利用した贈与であれば「贈与税0円」で贈与が可能になります。

■「贈与税0円」で贈与できる2つの制度

  1. 贈与税の配偶者控除の特例
  2. 相続時精算課税制度

この2つの制度の比較表は以下の通りです。

■2つの制度の比較表

贈与制度の種類 相続時精算課税制度 贈与税の配偶者控除の特例
贈与者 60歳以上の親または祖父母 配偶者
受贈者 20歳以上の子または孫
(養子もOK)
配偶者
主な利用条件 無し 婚姻期間が20年以上
非課税枠(控除額) 特別控除2500万円
(限度額まで複数回使用可)
特別控除2000万円
基礎控除 毎年110万円
非課税枠を超えた部分の税率 20% 10%~55%

今回は、「相続精算課税制度」について詳しく説明していきます。

「贈与税の配偶者控除の特例」は、贈与者・受贈者がそれぞれ配偶者であり、婚姻期間20年以上が要件になります。また、非課税枠は2110万円であり、相続時精算課税の非課税枠2500万円よりもやや少なくなります。

「贈与税の配偶者控除の特例」を利用して自宅の差し押さえを回避する方法は、「贈与税の配偶者控除の特例を利用して自宅の差し押さえを回避する方法」を参照にしてください。

それでは、「相続時精算課税制度」について詳細をみていきます。

相続時精算課税制度とは、贈与の特例の1つであり、この制度を利用することで、自宅を、子供または孫へ贈与する際、「2500万円」まで贈与税が発生しません。

自宅の評価額が「2500万円以下」であれば、贈与税0円で贈与できることになります。

借金整理の過程で、将来、自宅が競売になる懸念のある方は、借金の返済が遅れる「前」に予めこの制度を利用することで、自宅の名義を贈与税0円で変えてしまい、金融機関からの差し押さえを回避できるメリットがあります。

借金の返済が遅れた「後」に贈与を利用して自宅の名義変更を行う行為は「詐害行為」として取り消される可能性があるため、注意するようにしてください。

贈与を利用した差し押さえ回避の手続きは、借金の返済が遅れる「2年以上前」に行うことで、この「詐害行為」のリスクを減らすことができます。

それでは、相続時精算課税制度を利用するための要件をみていきます。

■相続時精算課税制度の要件

  1. 60歳以上の親または祖父母が、20歳以上の子または孫に贈与すること。

なお、この制度を利用する場合は以下の内容に留意する必要があります。

■留意点について

  • 贈与には「相続時精算課税制度」か「暦年贈与(いわゆる通常の贈与)」の2種類があり、一度、相続時精算課税制度を選択すると、途中から「暦年贈与」へ変更することができないこと。

相続時精算課税制度と暦年贈与の比較表は以下の通りです。

■相続時精算課税制度と暦年贈与の比較表

贈与制度の種類 相続時精算課税制度 暦年贈与
(通常の贈与)
贈与者 60歳以上の親または祖父母 誰でもOK
受贈者 20歳以上の子または孫 誰でもOK
非課税枠(控除額) 特別控除2500万円
(限度額まで複数回使用可)
基礎控除 毎年110万円
非課税枠を超えた部分の税率 20% 10%~55%
相続発生時の贈与財産の合算について 贈与財産を贈与時の時価で相続財産に合算 不要。ただし相続開始の直近3年以内に行われた贈与については相続財産に合算する。

暦年贈与に戻れなくなるデメリットとしては、2500万円の非課税枠以上の贈与を行うと一律20%の課税がなされることくらいです。

自宅を「贈与税0円」で贈与できるメリットに比べ、暦年贈与に戻れなくなることは大きなデメリットではないため、特に気にしなくて大丈夫です。

以上が、相続時清算課税制度の説明です。

2.相続時精算課税制度を利用して自宅の差し押さえを回避する方法

それでは相続時精算課税制度の利用して自宅の差し押さえを回避する方法をみていきましょう。

贈与の手続きは基本的にすべて自分で行えますが、以下2点は専門家に依頼するようにしましょう。

■専門家に依頼する手続き

(手順1~3の不動産の評価)
自分で行うことが難しい場合は、相続税・贈与税に詳しい不動産会社、税理士、不動産鑑定士に依頼しましょう。

(手順4の所有権移転手続き)
自分で行うことは難しいため、司法書士に依頼するようにしましょう。

それでは、手続きの手順をみていきます。

手順1:建物の評価額をチェックする

自宅の固定資産税の「課税明細」と呼ばれる資料を用意します。「課税明細」は毎年市役所から所有者へ送られてくる固定財産税・都市計画税の明細です。

「課税明細」に記載されている、建物の「評価額」をチェックします。「課税標準額」ではありませんのでご注意ください。

「課税明細」が無い場合は、各自治体の税金を取り扱う課(例:収税課)へ行って、建物の「評価証明書」という書類を取得してください。1通300円で取得できます。

「評価証明書」にも、建物の「評価額」の記載がされていますのでチェックしてください。

手順2:土地の評価額をチェックする

土地の評価額をチェックする方法は、お近くの税務署に電話して、自宅の「路線価」というものを教えてもらいます。

「路線価」とは、相続税・贈与税を計算する際に使用する土地を評価するための価格です。

各道路に路線価がついており、自宅の土地が面している道路の路線価を調べてもらいます。

路線価は1㎡あたりの金額で記載されており、路線価が10万円であれば、「1㎡あたり10万円の評価がつく土地」ということになります。

自宅の土地が100㎡の場合で、路線価が10万円であれば、土地の評価額は1000万円ということになります。

尚、自宅の土地の面積を調べるには、法務局で「土地の登記事項証明書」を取得することでわかります。

1通あたり600円で取得できます。

本来はより細かく計算をしますが、一旦、このやり方で間に合いますので、挑戦してみてください。

手順3:土地と建物の評価額合計が2500万円以下かどうかチェックする

土地と建物の評価額の合計が2500万円以下であれば贈与税0円で贈与ができます。

2500万円を超える部分については一律20%の贈与税が発生します。

尚、2500万円を超えてしまった方は、「減価の制度」を利用して価格を2500万円以下に抑えられる可能性があります。

「減価の制度」とは、不動産を評価する際に、道路付けや土地の形状等を考慮して、不動産の評価に反映させ、評価を落とせる制度です。

よって、2500万円を超えてしまった方は、相続税・贈与税に強い不動産会社、税理士、不動産鑑定士などに評価の依頼を行うようにしましょう。

評価の行ってもらう費用は約20万円が目安になります。

手順4:贈与をする場合は所有権移転登記を行う

贈与をする場合は所有権移転登記を行います。

自分でもできますが、所有権移転登記は司法書士に依頼をかけたほうが安全で問題なく行えます。

費用(登録免許税)は贈与の所有権移転となり、以下計算式で算出します。

登録免許税=土地建物の「評価証明書」の評価額×2%

上記登録免許税とは別途で、司法書士の報酬が必要になります。報酬の相場は6万円前後です。

土地建物の「評価額」が2000万円の場合は、登録免許税が40万円、司法書士の報酬が6万円として、合計46万円の所有権移転登記費用が必要になります。

また、贈与をして6ヶ月程経過すると、不動産取得税の請求が1回だけきます。

不動産取得税は以下計算式で算出します。

不動産取得税=土地建物の「評価証明書」の評価額×3%(通常は4%ですが、平成30年3月31日までは3%で計算します。)

よって、土地建物の「評価額」が2000万円の場合は、不動産取得税は60万円となります。

贈与税0円で贈与はできますが、所有権移転登記費用、不動産取得税が発生しますのでご注意ください。

ここまでの手順を踏めば、不動産の名義変更が完了するため、自宅の差し押さえを回避する対策は完了です。

後は、手順5で説明する税務署への届出を行うだけです。

手順5:贈与を行った翌年の3月15日までに、相続時精算課税制度を利用した旨の届出を行う

相続時精算課税制度を利用して贈与を行った場合、贈与を行った翌年の3月15日までに、税務署に、相続時精算課税制度を利用して贈与を行った旨の届出を行います。

詳細は最寄りの税務署で内容を確認してください。

以上が、相続時精算課税制度を利用して自宅の差し押さえを回避する方法です。

2-1.住宅ローンが残っている状態で贈与を行う方法

「住宅ローンが残っている状態」で自宅の贈与を行うには、住宅ローンを借りている金融機関の了承が必要になります。

「相続時精算課税制度」の場合は、子供や孫に収入がなければ、難しい交渉を強いられます。

このような場合は、以下方法で贈与が行えるように手続きを行います。

■「住宅ローンが残っている状態」で贈与を行う6つの方法

まずは、現在住宅ローンを借りている金融機関に贈与を行って名義を子供か孫に変更したい旨を説明し、所有者の変更をお願いします。断られた場合の対策は、以下のような方法があります。

  1. 他に所有している不動産を追加の担保として差し出す。
  2. 住宅ローンを借り換える(理解を得ることができる他の金融機関を探します。)
  3. 今の自宅を売却して資金が作れる場合、自宅を売却後、売却資金を収入の無い奥様へ贈与し、その売却資金で新たな家を購入する。
  4. 家族の中で連帯保証人になれる者は、仕事につき収入を確保した上で、連帯保証人になる。
  5. 他に所有している不動産が無い場合は、親族や知人に事情を説明して、親族や知人の不動産を追加の担保として差し出す。
  6. 親族、知人に連帯保証をお願いする。

以上です。

現実的な方法としては、1番の「ご自身の不動産を追加で担保提供する」、または2番の「住宅ローンの借り換え」になります。

3番以降は売却や新たな連帯保証等が絡むやり方になるため、無理をせず一旦他の手続きを検討します。

他の手続きとして考えられる方法は、任意売却を利用した「親族間売買」があります。

任意売却を利用して、親族等に安く自宅を売却して、あなたは安い賃料で自宅に住み続けます。そして、あなたの状況が落ち着いたら、将来買い戻す方法で自宅を守ります。

詳細な方法については、「リースバックで自宅を売却して引き続き自宅に住み続ける方法」を参照にしてください。

住宅ローンの支払いが既に遅れている状況では、贈与を利用した差し押さえ回避はできないため、先述の通り、任意売却を利用した「親族間売買」で自宅を守るようにしましょう。

以上が、相続時精算課税制度を利用した自宅の守り方です。

3.まとめ

今回は、相続時精算課税制度を利用して、自宅の差し押さえを回避する方法についてみてきました。

所有権移転登記費用・不動産取得税の費用は発生しますが、贈与税0円で自宅の名義変更が行える相続時精算課税制度は、自宅の差し押さえを回避する方法として有用です。

借金の返済がまだ遅れる「前」の方で、将来、自宅が競売になる懸念のある方は、この記事を参考に自宅の差し押さえを回避してみてください。

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