債務整理をしたい方

自己破産をすると住宅ローンが組めない理由と破産後審査を通すポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
loan

自己破産をすると、大きな借金があってもすべて0にしてもらうことができますし、自己破産後には返済が一切不要なので、無職無収入でも安心して手続きを行うことができます。

ただ、自己破産をすると、その後「住宅ローンを利用できなくなるなら嫌だなぁ」と思い、不安に感じている方がいるのではないでしょうか?

今回は、自己破産後に住宅ローンを組めない理由と、その後利用するために知っておきたいことについて詳しく解説します。

1.自己破産すると住宅ローンを利用できない

「借金返済が苦しいから自己破産をしたいけれど、住宅ローンを組めなくなるらしいから、心配…」と思っている方がいるかもしれません。これは、本当なのでしょうか?

まず、自己破産をすると今所有している家や財産はなくなります。

破産者の財産は、すべて現金に換えられて債権者に配当されることになるためです。(ただし、家族名義の家に居住している場合は引き続き家に住むことができます)

そこで、それまで自宅を持っていた人も、自己破産後は賃貸住宅で生活しなければなりません。

その後やっぱり自宅がほしいと考えたら家を購入しないといけませんが、自宅用の土地建物やマンションは高額ですから、ほとんどのケースで住宅ローンを利用します。

ところが、過去に自己破産をしていると住宅ローンを利用できません

住宅ローンを組むためには、銀行や公庫、信用金庫などの金融機関で審査を受けて、合格しなければなりません。
このとき、通常は(自己破産をしていなければ)年収が高く、年齢も若く、勤務先もしっかりした会社なら審査に通りますが、自己破産をした人の場合は審査に落ちてしまいます。

「自己破産をすると、住宅ローンを組めない」というのは、残念ながら本当です。

2.自己破産をすると借り換えもできない

自己破産をすると「住宅ローンを組めないだけでなく借り換えもできないの?」と考える方がいるかもしれません。

これは、自己破産後「いつ借り換えをするのか」という「時期」によって異なり、自己破産後10年以内などの近い間に借り換えをすることはできません。

考えてみていただきたいのですが、住宅ローンの借り換えは、今の住宅ローンを別の住宅ローンに変更することですから、「今住宅ローンを組んでいる」ことが前提となります。

ところが、自己破産をすると、それまで組んでいた住宅ローンのついた家は売却されて、抵当権者である金融機関に売却代金が支払われてしまうのですから、その時点で住宅ローンも家もなくなるわけです。

そのため、「自己破産後に住宅ローンが残っている」ことはあり得ません。
自己破産後に住宅ローンの借り換えをするためには、まずはどこかの金融機関で住宅ローンを組んで、その後その住宅ローンを借り換える必要があります。

ところが、先にも説明した通り、自己破産をするとそもそもその1回目の住宅ローンを組むことが不可能になるので、「借り入れ以前の問題」になります。

つまり、自己破産後は住宅ローン審査に通らないので、その後の借り換えももちろんできない、ということです。

これに対し、自己破産後、一定の年数が経過したら、住宅ローンを利用できるようになります。この状態であれば、借り換えの審査も通りますので、借り換えをすることも可能です。

3.他の債務整理でも同じ?

このように、自己破産をすると、基本的には住宅ローンの利用も借り換えもできなくなりますが、これは他のどの債務整理であっても同じなのでしょうか?

自己破産というと、債務整理手続きの中でも裁判所を利用した厳格な手続きというイメージがありますし、借金が全部なくなるという強力な効果があるので、その分デメリットも大きいのではないか?と考える方がいるかもしれません。それだったら、自己破産をやめて任意整理や個人再生にしておこうか、ということになりますよね。

しかし、住宅ローンを利用できなくなるのは、他のどの債務整理手続きでも同じです。

裁判所を利用する個人再生だけではなく、債権者と直接交渉をする任意整理でも同じですし、弁護士を使わずに自分で特定調停をした場合でも、やはり住宅ローンは組めません。

過払い金請求をしただけで終わった場合(手続き後に返済が一切残らなかった場合)にはローン利用ができる状態にとどまることができますが、過払い金が発生するのは約10年以上前の取引に限られるので、最近ではどんどん減っています。

以上のように、普通の債務整理なら、住宅ローンを利用できなくなるので、「住宅ローンを組みたいから、自己破産ではなく他の債務整理をする」という考えは意味がありません。

他の債務整理と住宅ローンの関係については債務整理後に住宅ローンを検討している方が知っておくべきことを徹底解説で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

4.自己破産で住宅ローンが利用できない理由

それでは、自己破産をすると、どうして住宅ローンを利用できなくなってしまうのでしょうか?

勘の良い方であれば「信用が無くなるからでは?」と考えるかもしれません。その考え方は、大筋で正しいです。

自己破産やその他の債務整理によって住宅ローンを利用できなくなる理由には、「個人信用情報」や「信用情報機関」が関係しています。

4-1.個人信用情報とは

「個人信用情報」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?自己破産やクレジットカード、住宅ローンなどについて調べていたら、「その言葉、見たことがある」ということもあるでしょう。

略して「個信」などとも呼ばれます。

個人信用情報とは、国民1人1人の借金(ローンやクレジット)の利用履歴です。

個人信用情報には、借金の申込履歴や契約内容、返済状況や「事故情報」が登録されます。

ローンに申し込むと申込情報が登録され、借入をしたら借入先や借り入れ残額が登録されます。
返済を遅延したら遅延情報が登録されますし、債務整理をしたら事故情報が登録されます。

この「事故情報」がくせ者で、債務整理によって個人信用情報に事故情報が登録されると、それが登録されている限り住宅ローンを利用することはできないのです。

4-2.信用情報機関とは

個人信用情報とセットで覚えておきたいのが「信用情報機関」です。

情報信用機関とは、国民1人1人の個人信用情報を管理している機関です。

公的な機関ではなく、クレジットカード会社や消費者金融会社、銀行などの金融機関が自主的に設立し、運用しています。ただ、ローンやクレジットの情報という高度にプライバシーが含まれた重要な情報を管理するわけですから、内閣総理大臣によって指定を受けています。

このように、正式に指定された信用情報機関のことを、「指定信用情報機関」と言いますが、日本のすべての貸金業者や金融機関は、いずれかの信用情報機関に加盟しています。

そして、信用情報機関に加盟している貸金業者や金融機関は、自社が加盟している信用情報機関に照会をして、その機関が管理している個人信用情報の内容を確認することができます。

指定信用情報機関の種類

指定信用機関には3種類があります。

1つはJICC(日本信用情報機構)、2つ目はCIC(株式会社シー・アイ・シー)、3つ目はKSC(全国銀行個人信用情報センター)です。

JICCは、貸金業者の中でも消費者金融業者や商工ローン会社が出資して設立した機関なので、加盟している業者も消費者金融や商工ローン業者が多いです。

CICは、クレジットカード会社や信販会社が中心になって設立した会社です。そこで、加盟している会員も、クレジットカード会社や信販会社が主となっています。

KSCは、全国銀行協会という金融機関の団体が運営している信用情報機関です。そこで、銀行や信用金庫などの金融機関は、基本的にすべてKSCに加盟しています。

貸金業者や金融機関は、上記の3つのうち1つにのみ加盟していることもありますが、2つや3つ全部に加盟している業者や金融機関もあります。

4-3.金融機関の審査方法

住宅ローンを申請するとき、相手先は銀行や信用金庫、労働金庫、公庫などの金融機関です。

こうした金融機関に住宅ローンの申込をすると、申請を受けた金融機関は、加盟しているKSCや他の信用情報機関に対し、申込者の個人信用情報の照会を行います。

そして、問題のある情報が登録されていて、信用ができない人だと判断すると審査に落とします。

もし自己破産をしていると、個人信用情報に「事故情報」が登録されているので照会されると申込先の金融機関に債務整理をしたことを知られてしまいます。

すると、金融機関は「信用ができない人」だと判断して、審査に通してくれません。

このように、自己破産をすると個人信用情報に事故情報が登録されて住宅ローンの審査に通らなくなるので、住宅ローンを組めなくなるのです。

どの金融機関の審査にも通らないので、別の金融機関からお金を借り直すという「借り換え」も、当然利用できないこととなります。

4-4.ブラック状態になると、住宅ローン以外の借り入れも出来ない

債務整理によって個人信用情報に事故情報が登録されると、住宅ローン以外の借金も利用することができなくなります。

たとえば、車のローンやクレジットカードのリボ払いや分割払い、キャッシングや消費者金融・街金などからの借り入れもできません。奨学金も利用できませんし、他人の借金の連帯保証人や保証人になることもできません。

このように、債務整理をすると、一切のローンやクレジットカードを利用できない大変不便な状態になります。

このことを、俗に「ブラックリスト状態」とか「金融ブラック」などと言うことも多いので、覚えておきましょう。

5.自己破産後、住宅ローンを利用できない期間は?

自己破産をしたら、いつまでブラックリスト状態が続くのでしょうか?

自己破産後も、一生住宅ローン審査に通らなくなるわけではありません。一定年数が経てば、事故情報が消去されるからです。

ただ、事故情報が消えるまでの機関は、それぞれの信用情報機関によって異なります。

CICやJICCの場合、事故情報の登録機関は自己破産後5年間です。

これに対し、KSCの場合、自己破産後10年間、事故情報が登録され続けてしまいます。

このようにブラック期間が長くなる理由には、「官報公告」が関連します。

「官報公告」とは、自己破産をしたことが「官報」に掲載されることです。官報とは、政府が発行している新聞のような機関誌で、毎日発行されています。

ただ、この記事を読んでいるあなた自身も、おそらく「官報」を見たことがないでしょうし、実際に「官報」を読んでいる人もほとんどいません。そこで、官報公告をされることによって、周囲に自己破産がバレることは、まずありません。

ただ、KSCは官報公告をチェックしています。

そして、官報公告された人については、個人信用情報に官報情報が掲載されます。自己破産の場合、「破産手続開始」などの情報が登録されるのです。そして、KSCにおいて、官報情報は10年間登録され続けます。

住宅ローンの借入先のほとんどはKSCに加盟しているでしょうから、自己破産をすると、10年間は住宅ローンを利用できない可能性が高くなります。

なお、個人再生をした場合にも官報公告が行われますので、同じようにKSCで10年間官報情報が登録され続けます。そこで、個人再生後も、自己破産後と同様、10年間程度は住宅ローンを利用することができなくなります。

6.金融機関によって異なるって本当?

6-1.どこの金融機関でも住宅ローンを利用できない

自己破産後はブラック状態になるので、住宅ローンを利用できなくなりますが、金融機関によっては、自己破産後も審査に通ることができるのでしょうか?

たとえば、街金などであれば「債務整理後のブラックでも貸してくれる業者」がいますが、住宅ローンでもこのようなことが可能なのかが問題です。

まず、金融機関が、あえて「ブラック状態」の人を審査に通すことは、まずありません。これはメガバンクでも都市銀行でも地方銀行でも信用金庫でも労働金庫でもJAでも同じです。

このあたりの事情は、街金と金融機関とで全く異なります。

これに対し、街金は、大手の消費者金融や銀行カードローンなどに比べて顧客を集めにくいため、大手と同じように「ブラックの人には貸さない」と言っていると顧客を失い、営業が苦しくなるため、間口を広げて収益を高めるためにあえてリスクの高いブラックの人にお金を貸し付ける意味があります。

しかし、金融機関の場合、信用金庫であっても小さな地方銀行であっても、それなりに住み分けて収益を得ているのであり、「大手に顧客を取られる」貸金業者とは違います。

また、金融機関は信用が大切だと考えており、ブラックの人にお金を貸して厳しい取り立てをするというようなサラ金のようなことはしません。

そこで、どのような金融機関でも、ブラック状態である限りは住宅ローンを利用できないと考えましょう。

6-2.例外的に住宅ローンに通った事例

自己破産をすると、その後10年間はまず住宅ローンを利用できないのですが、中には例外もあるので参考までにご紹介します。

任意整理の事例ですが、過去に、事故情報が登録されているブラック状態で、公庫からの住宅ローン借り入れができた人がいます。

その人は、任意整理をした後、JICCに事故情報が登録された状態で住宅金融支援機構のフラット35という住宅ローンに通ったことで知られています。

より詳しい状況を述べると、以下のような点がポイントとなっています。

●住宅ローン借り入れに有利な事情

・上場企業に勤務していた
その人の場合、もともと上場会社に勤務していて、住宅ローンにとおりやすい属性を持っていました。

・自己資本比率が高かった
自己資本比率とは、購入価格のうち、住宅ローン以外の支払い分(通常は頭金)の比率です。この人の場合、75%が自己資金だったということですから、相当高かったと言えます。

●住宅ローン借り入れが難しい事情

・地方銀行の住宅ローン審査には落ちていた
その人は、当時現にブラック状態で地方銀行の住宅ローン審査に落ちていました。そこで、基本的には住宅ローン審査に通らないはずの状態でした

・JICCに事故情報が残っていた
当時、現にブラック状態だということです。

どのような判断でそうした結果になったのかなどはっきりしたことはわかりませんが、この事例が参考になることは確かです。

この事例と自己破産の通常ケースとの違い

この事例を見て、「自分も、フラット35に申し込んでみよう!」と思われた方もいるかも知れませんが、このことにより「自己破産をしても、フラット35なら利用できる」と言っているのではないので、注意が必要です。

まず、上記の事例は任意整理の事例であり、事故情報が登録されていたのはJICCです。任意整理なら、KSCに官報情報は登録されません。

これに対し、自己破産の場合には、KSCに破産手続開始、などの官報情報が登録されます。

KSCは、すべての金融機関が加盟している重要な信用情報機関なので、ここに自己破産の官報情報が登録されていると、任意整理のケース以上に警戒されるおそれが高いです。

また、この事例では、自己資本比率が75%と、非常に高いです。これは、住宅購入金額のうち、4分の3に相当する頭金を用意したということです。

つまり、4000万円の家を買うとすると、3000万円は自分で支払い、残りの1000万円のみ借り入れをした、という意味です。このように多くの自己資本を用意されたら、金融機関にとってはリスクが非常に低くなるため、審査にとおりやすくなります。

ただ、通常は自己破産後に70%を超える自己資本を用意するのは困難でしょう。

そのため、どのような人でもこの事例と同じように進めることは難しいわけです。

ただ、どこの金融機関に申込みをしようか?と迷ったときには、とりあえずブラックの人を通した実績もあるというフラット35を使ってみる、という程度に頭に止めておくとよいでしょう。

7.自己破産後、住宅ローンの審査に通る方法とは

自己破産をしても、10年程度が経過したら、異動情報や官報情報などの事故情報が抹消されるので、再度住宅ローンを利用できる可能性が出てきます。

ただこの場合でも、やみくもに審査申込をすると落ちてしまうので注意が必要です。

以下では、自己破産後に住宅ローン審査に通る方法を、順を追って説明していきます。

7-1.まずは事故情報が消えていることを確認する

自己破産には限りませんが、ブラック状態から明けて、はじめて借り入れの申込をするときには、必ず自分の個人信用情報から事故情報が消されているかどうか確認しなければなりません。

個人信用情報から事故情報が抹消されても、本人宛に通知が来るものではないので、自分にはまったくわからないことだからです。

10年が経過して「そろそろ事故情報が消えたはずだから、住宅ローンを申し込んでみよう」と思っても、実際にはまだ消えていなければ、審査には通らず無駄になってしまいます。

また、いったん審査に落ちると、個人信用情報に申込履歴が残ってしまうため、次に申込みをしたときに、「最近別の金融機関の審査に落ちた人」だとわかってしまい、不利益に判断されるおそれがあります。

7-2.事故情報が消えているかどうか、確認する方法

事故情報が消えているかどうかを確認するためには、信用状機関の個人信用情報開示請求の手続を利用します。

個人信用情報は、本人にとって重要な個人情報ですから、開示請求をして内容をチェックする権利が認められています。それぞれの信用情報機関は、個人信用情報開示請求の手続を定めているので、それに従って開示を受けましょう。

●JICCの場合

JICCに個人信用情報の開示請求をする方法には、郵送による方法、窓口に出向いて請求する方法、スマホによって開示請求する方法の3種類があります。
スマホによって開示請求する場合でも、申請後、後日自宅に書類が郵送されてきます。窓口で請求する場合、東京都千代田区か大阪市北区のどちらかの営業所に出向く必要があります。

郵送の場合とスマホを利用する場合には手数料が1000円かかり、窓口なら手数料は500円です。

●CICの場合

CICの場合には、ウェブ上で開示を受ける方法と郵送、窓口による方法があります。

ウェブ上で開示を受ける方法を選ぶと、その場で個人信用情報を閲覧することができるので、手間も時間もかかりません。窓口で申請をする場合、全国7箇所に営業所があります。

郵送やウェブ上の開示の場合、手数料は1000円となりますが、窓口で開示を受ける場合には手数料は500円です。

●KSCの場合

KSCでは、郵送による開示請求しか受け付けていません。手数料は1000円です。

7-3.必ず、3つの信用情報機関の情報を調べる

個人信用情報を確認するとき、必ず3種類の信用情報機関の全ての情報をチェックしなければなりません。

銀行等の金融機関はKSCだけではなくCICやJICCにも加盟していることが多いからです。1つの信用情報機関の個人信用情報から事故情報が消えていても、他の信用情報機関で事故情報が残っていたら、結局は住宅ローン審査に落ちてしまいます。

確かに、各信用情報機関の事故情報登録期間からすると、基本的に、自己破産から10年が経過している場合、JICCやCICには情報が残っていないはずですが、何かの手違いで情報が登録されたままになっているおそれもあります。

そこで、3つの信用情報機関において、すべて事故情報や異動情報、官報情報などのブラック情報が消えていることを確認してから、金融機関へと住宅ローンの申込をしましょう。

7-4.ブラック情報が、なぜか消えていない場合の対処方法

自分の個人情報を調べたとき、明らかに10年以上が経過しているのに、なぜか情報が残ったまま、ということがあります。このようなときには、信用情報機関に調査依頼をして、状況を調べてもらうことができます。

CICやJICCでは、個人信用情報の開示請求日(受付日)から2ヶ月以内に申請をすると、加盟している貸金業者に調査依頼をして、結果を報告してくれます。

KSCの場合には、「異議申立書」を提出することによって調査依頼をすることができます。

このことで、間違っていた情報が訂正されてブラック状態から抜け出すことができる可能性があるので、覚えておきましょう。

7-5.なるべく多くの頭金を用意する

住宅ローン審査に通りたいときには、なるべく多くの頭金を用意することが効果的です。

頭金をたくさん入れると、その分借入比率が下がります。その場合、たとえ借り入れた人が住宅ローンを返済できなくなったとしても、金融機関は抵当権を実行して、住宅を売却してしまえば良いのです。

頭金が大きい場合、住宅ローンの金額が小さくなりますし、住宅の売却金は住宅ローン残額より大きくなることが普通なので、リスクを軽減できます。

たとえば、3000万円の家を買うときに、頭金0円だったとします。その後債務者が200万円を返済した時点で住宅ローンの滞納が起こったとします。このとき、住宅ローン残高は2800万円です。銀行が抵当権を実行して家を売却しても、家は2000万円でしか売れませんでした。そうなると、「-2800万円+2000万円=-800万円」となり、金融機関にとっては、800万円のマイナスになってしまいます。

これに対し、3000万円の家を買うときに、頭金1000万円が入っていたとします。その後200万円を返済した時点で住宅ローンの滞納があったとします。そのとき、住宅ローンの残高は1800万円です。銀行が抵当権を実行して2000万円で売れたら、「-1800万円+2000万円=200万円」となり、金融機関は住宅ローン全額の回収ができます。

このことは、自己破産後でも同じことですから、頭金をたくさん用意すると住宅ローン審査にとおりやすくなります。

自己破産をすると10年は借り入れができないわけですから、その間にできるだけ多くの貯金をしましょう。

また、協力してくれる親などがいるのであれば、助けてもらうのも1つの方法です。

たとえば、自己破産後結婚をすることになり、夫婦で家を購入するときなどには、お互いの親が頭金の援助をしてくれることもあるでしょう。

7-6.年収、勤続年数などの条件を揃える

住宅ローンの審査では、申込者の「属性」が重視されます。属性とは、債務者がどういった立場のどういう人かということです。

住宅ローン審査で重要なのは、以下のような点です。

・完済時年齢
住宅ローンは、長期返済が必要になる借り入れですから、完済時における年齢は非常に重視されます。完済時年齢が高齢になると、審査には通りにくいので、返済期間を短くする工夫が必要になります。

・申込時年齢
申込時の年齢は、若いほど良いです。自己破産後10年程度が経過してブラック状態が解消されたら、なるべく早めに申込みをしましょう。

・勤続年数
会社員の場合には、勤続年数も重要です。最低でも3年は同じ会社に勤務している必要があり、転職を繰り返していると不利になります。

自営業の場合にも、「開業したばかりで実績がない」状態では厳しいので、数年間は事業を継続して実績を積む必要がありますし、2,3期は連続して黒字であることが必要になる金融機関も多いです。

・年収
年収は、もちろん高ければ高いほど良いです。

・勤務先、仕事の内容
勤務先や仕事の内容も、住宅ローン審査に影響します。

公務員は非常に有利です。民間企業なら、上場企業で業績の良いところが優遇されます。また、自営業より中小企業の方が評価は高く、アルバイトの場合には、住宅ローン審査に通るのは難しくなってきます。

医師や看護師、弁護士や司法書士、公認会計士などの資格がある人は、比較的評価が高くなります。

・家族構成
家族構成としては、独身者より既婚者の方が住宅ローンに通りやすいです。既婚者の場合、子どもはいないか少ない方が有利です。

自己破産後、住宅ローンを申し込むときには、上記のような属性を備えるよう努力すべきです。
概して言うと、安定した高収入の仕事に就けると住宅ローンにはとおりやすくなります。

7-7.頻繁に申し込まない

住宅ローン審査にいったん落ちたら、しばらくは申込を控えましょう。先にも説明した様に、申込履歴が残ってしまうためです。一回落ちたら6ヶ月程度は開けた方が良いでしょう。

7-8.別の借金をしない

住宅ローン審査を受けるとき、消費者金融やカードローンなどの他の借金があると非常に不利になります。個人信用情報を照会したときにサラ金の借金があると、それだけで審査落ちになるケースもあります。

ブラック明けに審査にとおりたければ他の借金をする前に申込みをしましょう。

8.住宅ローンを組みたいから自己破産を辞めておく、は正解なのか?

結局、借金があるけれども後に住宅ローンを使えなくなるのは困るから自己破産を辞めておこう、という考え方は正しいのでしょうか?

結論から言うと、このような考えは間違いです。その理由について以下で説明します。

8-1.今、持ち家がない場合

今、自分の家を持っていない方は、「自己破産する前なら住宅ローンに通るかも」と思っているかも知れませんが、すでにサラ金やカードローンなどの借金がたくさんある場合、住宅ローン審査には通りません。

たとえ通ったとしても、既に借金返済が苦しい状態で住宅ローン返済も合わせて続けていくことなど不可能ですから、いずれ支払いができなくなって、家ごとなくなってしまうでしょう。

そこで、借金返済ができないなら、覚悟を決めて自己破産を行い、一からやり直して将来的に自分の家を購入するよう、考えを改めましょう。

8-2.今、持ち家がある場合

今、自分の家があって住宅ローン返済中という人もいるかもしれません。この場合、自己破産をすると家はなくなります。

しかし、すでに支払いが苦しくなって滞納しているなら、自己破産をしなくても債権者から抵当権を実行されて、結局家はなくなってしまいます。

住宅ローンは、3ヶ月~半年間程度滞納すると保証会社が代わりに弁済をして一括請求をしてき、競売の申し立てをされてしまいます。このような形で家を失うと、早期に債務整理をするよりも傷が大きくなります。

ただ、住宅ローンを滞納し始めてから日が浅いのであれば、個人再生を利用することも可能です。

「住宅資金特別条項付個人再生」を利用すると、住宅ローンの支払いは継続して家を残したまま他の借金だけを減らすことができるためです。

今、自分の持ち家があるなら、自己破産と個人再生の両立てで債務整理を検討することも1つの方法です。

9.自己破産ではなく任意整理をする方が良いケースもある

「どうしても債務整理をしなければならないけれども、なるべく住宅ローン審査に影響を及ぼしたくない」という方は「任意整理」を検討するのも1つの方法です。

任意整理をした場合、事故情報の登録機関が短くなるためです。

JICCでは手続き後5年、CICでは完済後5年、そして金融機関が多く加盟しているKSCでも、官報公告されないため、手続き後5年で事故情報を消してもらうことができます。

そこで、任意整理の場合であれば、手続きしてから5年~7年程度経ったら住宅ローン審査に通る可能性が出てくるのです。

ただ、任意整理をしても借金を大きく減額してもらうことはできないため、借金を0にしてもらえる自己破産とは効果が全く異なります。任意整理後の支払いができなくなってしまったら、結局自己破産しないといけません。

このようなことを考えると、結局は自己破産のほうが適切なケースもあります。

自己破産か個人再生か任意整理かについては、手続き後のブラック問題も含めて、自分の状況に応じた最も適切な方法を選択する必要があります。

それぞれの手続きについては以下の記事を参考にしてみてください。

10.まとめ

今回は、自己破産した後の住宅ローン審査の問題を取り上げました。

自己破産をすると、基本的にその後10年間は住宅ローンを利用できなくなることを覚悟すべきです。

その後、住宅ローン審査を受けるときには、必ず3つの信用情報機関に対し、個人信用情報の開示請求をして、自分の信用情報の状態を確認しましょう。

事故情報が消えていたら、なるべく頭金を用意して、定職について、申込をすると良いでしょう。

借金があるのに「住宅ローンを利用したいから、自己破産を辞めておこう」という考え方は本末転倒です。

まずは借金をきれいに整理してから、余裕を持って住宅ローンを組み、順調に返済を継続していきましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

【無料EBOOK】競売回避 完全マニュアル

ローン延滞、税金滞納の問題に対して何とかしなければいけないと考えているが、何をすれば良いのかよく分からず悩んでいませんか?
本書は、ローン延滞、税金滞納等で競売に陥った方が、


  • ・任意売却を活用して引き続き自宅に住み続ける方法

  • ・自宅を残しながら借金を最大90%カットする方法

  • ・競売を取り下げ、ローン延滞を無かったことにする方法



など、競売を回避し、あなたに大きなメリットをもたらす具体的な対策内容を詳細に解説しているものです。
ローン延滞、税金滞納の問題でお悩みの方は、本書をご活用の上、活路を見いだして頂きたいと思います。

次のページで目次を確認できます

コメントはこちらからどうぞ