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過払金に税金がかかるケースと金額・納付方法について

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平成20年頃以前に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた場合、「過払金」を取り戻せるケースがあります。

返ってきた過払金は、100万円を超えるケースもめずらしくないと言われますが、このような高額な過払い金が返ってくるケースでは、税金にも注意する必要があります。

もし税金が発生するとしたら、どのくらいの金額となり、どのようにして納付したら良いのかも押さえておくべきです。

今回は、過払金にかかる税金について解説していきます。

1.過払金の内訳と税金

1-1.過払金の税金がかかる部分とかからない部分

過払金にかかる税金を理解するためには、過払金の内訳を知っておく必要があります。過払金の内訳により、税金がかかる部分とかからない部分があるからです。

過払金には、「元本」部分と「過払い利息」の部分があり、元本部分には税金がかかりませんが、利息の部分には税金がかかります。

元本は、もともと支払う必要がなかったものを取り戻しただけなので、請求者において所得(プラスの収益)が発生していない状態になります。

これに対し、過払い利息は本来ならもらえなかったものですから、収益が発生したとみなされます。

以下で、過払金の元本と過払い利息がどのようなものか、もう少し詳しく確認しましょう。

1-2.元本

元本とは、発生した過払金そのものの金額です。

たとえば、利息制限法引き直し計算の結果、100万円の過払金が発生している場合、元本は100万円となります。

利息制限法とは、利息の上限を定める法律です。過去にサラ金やクレジットカードのキャッシングを利用していた場合、利息制限法を超過した利率によって利息を支払っており、利息の払い過ぎになっています。

そこで、利息制限法に基づき引き直し計算することで、払いすぎた利息の金額を修正し、適正な借金残高を明らかにすることができます。

1-3.過払い利息

過払い利息は、過払金に足される遅延利息です。

過払金は、法律上「不当利得」と考えられています。不当利得とは、法律上の理由なしに、利益を得ることです。理由もなく利益を得ているので、不当利得を得ている業者は返還しなければなりません。

そして、自分が法律上の理由なしに利得していることを知っている「悪意」の不当利得者は、返還請求を受けたときに、「利息」をつけて返済しなければならないとされています。過払金請求の場合、業者は「悪意」です。

過払い利息は、過払金が発生したときから発生します。個々の過払金が発生したときは借金の完済時より以前となり、長期間にわたって利息が膨らみ続けるので、相当大きな金額になることも多いです。

そして、過払い利息の年率は5%です。そこで、過払金請求をするときには、業者に対し、5%の過払い利息をつけて請求することができるのです。

冒頭でも説明しましたが、以上の元本と過払い利息のうち、元本には税金がかかりませんが、過払い利息には税金がかかるということをまずは知っておきましょう。

2.雑所得と申告が必要な額

過払い利息に所得税がかかるとしても、少額なケースではかからないことがあります。

過払い利息は、基本的に「雑所得」となりますが、雑所得は、一定金額までは申告も納税も不要とされているためです。

2-1.雑所得とは

雑所得とは、不動産所得や事業所得、給与所得や譲渡所得などの、国税庁の定める9種類の所得のいずれにも該当しない所得の総称です。

たとえば、公的年金や非営業用貸付金(個人間の借金など)の利子などが該当します。

過払金の利息も、非営業用の貸付金の利子と似た性質があり、基本的に雑所得となります。

雑所得についても、他の所得と合計して、その合計に対して所得税が課税されます。

ただし、雑所得の場合、年間20万円以下であれば税金は発生しませんし、申告の必要もありません。

つまり、過払い利息が発生していても、利息だけで20万円を超えていない限りは、所得税を納める必要がないのです。

2-2.所得税の税率

それでは、実際に所得税を納める場合、具体的にはどのくらいの金額になるのでしょうか?

日本の所得税は、累進課税となっています。累進課税とは、所得の額が多くなるほど税率が上がる方式です。高額な所得の人には、高額な税金を払わせようという考え方です。

所得税の税率は、以下の通りとなっています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

たとえば、過払い利息が30万円だったら、その5%である15000円の所得税が課税されます。

過払い利息が200万円の場合(実際にはそのようなことはほとんどありませんが)、10%から97500円を控除して、20万円-97500円=102500円の所得税がかかることとなります。

3.【個人事業者向け】利息を経費算入していた場合は要注意

ところで、個人事業を営んでいる場合には、過去に支払った借金の利息を事業経費に算入していることがあります。

この場合、過払金を取り戻すことにより、税金の計算方法が変わってくるので注意が必要です。

どのようなことか、以下でもう少し詳しく説明します。

3-1.借金の利息は事業経費に算入できる

事業を営んでいる場合、毎年確定申告をして、所得税を納付しなければなりません。

このとき、事業経費がかかっていると、売上から差し引くことができます。経費を多く算入したら、課税対象額が小さくなるので、所得税が下がります。

そして、借金返済をしている場合、その支払い利息は経費に算入することができます。

借金の元本は借りたものを返済しているだけなので余分な費用ではありませんが、利息は借りた以上の支払いになり、余計な出費になるためです。

そこで、過去に事業のために消費者金融を利用して支払いをしていた場合、支払利息分を経費に算入して、税金を計算して、申告と納税を行っていた可能性があります。

3-2.所得税の金額を修正する

ところが、過払金請求をすると、状況が変わってきます。

過払金請求は、支払いすぎた利息を取り戻す手続きですから、過去に経費算入した利息についても、一部返還を受けることになるからです。

すると、過去に行った申告納税額が変わってきます。

実際には、利息を支払っていなかったことになるので、経費算入が認められなくなって、税金の支払額が上がるのです。

わかりにくいので、具体例を挙げます。

たとえば、年間売上げが500万円の個人事業者がいるとします。過去に消費者金融に借金を返済していて、利息を年間10万円支払いました。そこで、10万円を経費に算入して490万円として所得税を計算し、納税しました。

ところがその後、過払金請求をしたため、利息を4万円取り戻しました。すると、本来であれば6万円(10万円-4万円)しか経費算入できないはずなのに、10万円まるまる経費算入してしまっていることになります。

そこで、経費算入を6万円として、計算し直さなければならないのです。課税対象所得は494万円となります。

3-3.修正申告を行う

過去に利息を全額経費算入していたので、税金額の変更をしなければならない場合には、税務署に対し「修正申告」が必要です。

修正申告とは、既に提出している申告内容を訂正するための申告です。修正申告書を作成して、所轄の税務署に提出します。

また、修正申告によって税金の額が上がるので、差額を速やかに支払う必要があります。

 

以上のように、個人事業者が過去に借金の利息を経費算入していた場合の修正申告については、過払金請求の際に見逃されることが多いです。

きちんと対応しないと税金の不払いになってしまうので、これを機会に押さえておきましょう。

4.【個人事業者向け】訴訟費用、弁護士費用は経費にできる?

過払金請求をするときには、弁護士に対応を依頼することが多いです。特に、債務者が自分で対応していると、業者が過払い利息をつけて支払ってくれることは、ほとんど100%ありません。

また、弁護士をつけていたとしても、業者との話し合いによって過払い利息を支払ってくれることは少ないので、裁判が必須となります。

弁護士に依頼すると弁護士費用が、裁判を起こすと訴訟費用がそれぞれかかりますが、こういった費用は、過払金を取り戻すための「経費」として差し引いてもらうことはできないのでしょうか?

以下で、それぞれについて見てみましょう。

4-1.訴訟費用

訴訟費用とは、裁判手続きそのものにかかる費用のことです。具体的には、裁判所に支払う収入印紙代や郵便切手などの費用のことです。

訴訟費用については、過払い利息回収のための経費に算入されない扱いとなっています。

これらは、基本的に、過払金の「利息」ではなく、過払金の「元本」を取り戻すための費用だからです。

4-2.弁護士費用、司法書士費用

弁護士費用は、過払金の回収を弁護士に依頼したときに弁護士に支払う費用です。司法書士に対応を依頼した場合には、司法書士費用がかかります。

これらの専門家の費用については、基本的に過払い利息回収のための経費として認められます。

ただし、全額ではありません。

弁護士に過払金請求を依頼したとき、回収できるのは利息だけではなく、元本も含まれるからです。

そこで、経費として差し引けるのは、かかった弁護士費用のうち、過払い利息に対応する部分だけです。

経費に算入できる部分を算出するためには、過払金の元本と過払い利息の部分に応じて按分計算することとなります。

わかりやすいように、具体例を見てみましょう。

たとえば、過払金が100万円、過払い利息が20万円返ってきた場合で、弁護士費用が24万円かかったケースを考えてみましょう。

この場合、弁護士費用24万円のうち、過払い利息に対応する部分は、24万円÷(100万円+20万円)×20万円=4万円です。

そこで、このケースでは、弁護士費用のうち、4万円を過払い利息回収の経費として算入することができます。

過払い利息は20万円ですから、4万円を引いて、課税対象の所得額は16万円となります。雑所得が20万円以下ですから、この場合、所得税の申告と納税が不要になります。

4-3.複数のサラ金・カード会社に請求した場合

過払金請求をするとき、複数のサラ金やカード会社に同時に請求をすることがあります。

このとき、1つの会社については、過払い利息が手続き費用より高額になっていて税金が発生しそうだけれども、別の会社については、過払い利息が手続き費用以下になっていることがあります。

このような場合、通算して計算を行います。

そこで、全体として過払い利息が経費を上回っていなければ、所得税は課税されないこととなります。

5.過払金にかかる税金の納付方法

以下では、過払金を回収したときに過払い利息が発生し、所得税を支払わないといけない場合の、納税の手順を確認しましょう。

5-1.確定申告の方法

所得税が発生したら、確定申告をする必要があります。

確定申告は、居住地(事業者の場合には事業を営んでいる地でも可)を管轄する税務署宛に、確定申告書を提出することによってできます。

個人事業者の場合には、毎年確定申告をしているはずなので、同じ申告書に過払い利息の所得を足して、申告を行います。

サラリーマンが雑所得の確定申告をするときには、確定申告書を作成して、会社から毎年末か年始に渡される源泉徴収票を一緒に税務署に提出します。

サラリーマンの申告の際には、青色申告決算書や収支内訳書の提出は不要です。

確定申告書を作成するとき、国税庁の確定申告書作成コーナーのページを利用すると便利です。

確定申告書の書式には、「確定申告書A」と「確定申告書B」があります。

確定申告書Aは、利用できる場面が限られていますが簡易な内容となっており、Bは全てのケースで利用できる書式で、少し複雑です。

サラリーマンが一時的に確定申告をするなら、比較的簡単に作成できる、確定申告書Aの書式を利用すると良いでしょう。

基本的に、国税庁のホームページの「確定申告の手引き」を見ながら、それぞれの項目に記入していくと良いです。難しくないので、自分でも作成できます。

領収証等を添付する必要はないので、源泉徴収票だけを添えて、申告書を提出しましょう。

申告書を提出すると、税金の納付用紙をもらうことができるので、速やかに計算した金額の所得税を納税します。

納税は近くの金融機関で行うことができます。

5-2.確定申告の期限

確定申告は、時期が限定されているので注意が必要です。

具体的には、所得が発生した年の翌年の2月16日から3月15日までです。

申告だけではなく、納税もこの期間に行う必要があるので、注意が必要です。申告だけをして納税していないと、延滞税(利子税)が加算されてしまいますし、税務署から督促が来るおそれもあるので、早めに金融機関に行って、支払いをしてしまいましょう。

6.実際には、税金がかかるケースは少ない

今回ご説明したように、過払金を回収すると、所得税がかかるケースがあります。

「税金の計算や申告納税等の手続きは、結構大変そうだし、面倒くさそうだな…」、と感じた方もいるかもしれません。

ただ、過払金請求をするときに、所得税が発生することは非常に少ないです。

まず、そもそも過払い利息を回収しない(できない)ことがあります。弁護士や司法書士に対応を依頼しても、話合いの段階では、カード会社やサラ金などが過払い利息の支払いに応じることは少ないからです。それどころか、過払金の元本からの減額を要求されてしまうので、全額回収も難しくなることが多いです。

過払い利息を回収するためには訴訟が必要となりますが、訴訟をしても、途中で一部減額をして和解することがあります。和解の際には、過払金の元本を満額支払ってもらうこととして、過払い利息をカットすることもあります。

判決を出してもらった場合には、過払い利息の支払い命令が出ますが、その場合でも、過払い利息が20万円を超えることは、多くはありません。

20万円以下であれば、申告も納税も不要です。

過払金請求で税金が発生するのは、過払金請求をして判決をしてもらったケースであり、かつその金額が20万円を超える場合のみとなるので、相当レアなケースです。

これから過払金請求をしようという場合、「税金が発生するかもしれない」からといって、躊躇する必要はありません。

せっかく取り戻せる過払金があるなら、返還請求をしないと損です。心当たりがある方は、できるだけ早めに弁護士等の専門家に相談しましょう。

まとめ

今回は、過払金と税金の問題について、解説しました。

過払金は、元本だけ回収した場合には税金がかかりませんが、過払い利息を回収すると、所得税が課税されます。ただ、年間20万円までは雑所得となるので、実際には税金がかかることは少ないです。

税金のことを心配しすぎる必要はないので、平成20年頃以前にサラ金やカードで借金していた方は、早めに弁護士に依頼して、過払金請求をすると良いでしょう。

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