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まだ手続きをしていない人必見!過払金請求ができる期限について

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過去に消費者金融会社やクレジットカードのキャッシングを利用していて高額な利息を支払い続けていた方、いらっしゃいませんか?

そのような場合、相手業者に対して「過払い金請求」ができる可能性があります。

過払い金については、テレビやラジオのCM、電車広告などでも大々的に宣伝されているので、知っている方も多いでしょう。

前々から気になっているけれども、まだ手続きをしていない人は、要注意です。

過払い金には時効があるので、早く請求しないと権利が消えてしまうおそれがあるためです。

そこで今回は、過払い金請求をすることができる期限について、解説します。

1.過払い金請求の時効期間

最近、テレビやラジオCMなどを聞いていると

「過払い金が時効になります!」

「最高裁の判決から10年以上が経過しています!」

「過払い金の心当たりがある人は、お急ぎください!」

と盛んに言っているので、「どういうこと?」と気になっている人も多いのではないでしょうか?

「自分も昔、消費者金融からお金を借りて、苦しいながらも毎月必死で返済していたから、過払い金請求できるのでは?」と思っているけれども、「時効があるならもしかしてもう無理かも…」と思っていることもあるでしょう。

実際、過払い金請求権には消滅時効があります。

具体的には、「時効の起算点」から10年経ったら過払い金請求権が時効消滅して、もはや返還請求することができなくなってしまいます。

時効の起算点とは「時効のカウントを開始するタイミング」のことです。

2.そもそも過払い金は「いつまで」発生していたの?

過払い金が10年で時効消滅するなら、そもそも過払い金「いつまで」発生していたのかが問題です。

今はどこの消費者金融もクレジットカード会社も利息制限法の範囲内での貸し付けしかしていないので、今借金の取引をしているとしても過払い金は発生しません。

これに対し、昔は、利息制限法を超えて貸付をしても有効になる余地があるという法律になっていたので、多くの消費者金融やクレジットカード会社が利息制限法を超える利率で貸付をしていました。

ところが、平成18年1月13日、最高裁判所が「利息制限法を超過する利率での返済は無効」という内容の判決を下しました。これを受けて法改正の作業が進められ、平成22年6月、利息制限法や出資法などが改正されて、利息制限法を超過する利率での貸付ができなくなったのです。

そのように言われると、「じゃあ、過払い金は平成22年まで発生していたの?」と思われるかもしれません。実は、そうではありません。

実際には法改正を見越して、平成19年~平成20年頃には、多くの消費者金融やクレジットカード会社は利息制限法を超える利率での貸付を辞めていきました。

そのため、過払い金が発生する取引が行われていたのは平成19年~平成20年頃までです。

今、平成29年の時点ではちょうど10年が経過しており、時効がぎりぎりになっている人も多いです。

だから、冒頭で紹介したように、多くの司法書士事務所や弁護士事務所などが「過払い金が時効にかかります!」などと言って、注意を喚起しているのです。

3.時効はいつから計算するのか?

過払い金が「いつまで」発生していたのかと同じくらい重要なのが、過払い金の時効は「いつから」計算するのか?ということです。これは、先に少し触れた「時効の起算点」の問題です。

そのように言われたら、「そんなの、当然過払い金が発生したときからなのでは?」と思われるかも知れません。

しかし、実はそうなってはいません。

結論からお伝えすると、過払い金が発生していても返済中は時効期間が進行せず、「完済した時点から」全部の過払い金の時効が進行します。

過払い金の時効の考え方には、「個別説」「取引終了時説」という2つの種類があり、長年消費者側と業者側との間で、争いが繰り広げられていました。

少し難しい話になりますので、より詳しく知りたい方は参考までにご覧ください。

3-1.個別説

1つ目の考え方は、個別説です。

これは、過払い金が発生すると「その時点から過払い金の10年の時効が進行する」という考え方です。

この考え方によると、たとえば平成15年1月に過払い金が発生して、その後毎月返済する度に過払い金が発生したとき、平成25年1月になったら、当初の過払い金が消滅してしまいます。

その後、平成25年2月、3月…、と時間が経つにつれて、順々に過払い金が消滅していきます。たとえば平成20年12月に完済した場合、平成29年6月の時点で請求できる過払い金は平成19年6月から平成20年12月の分だけです。

この個別説の考え方をとっていたのは、業者側です。個別説なら、次にご紹介する取引終了時説よりも早く、過払い金が消滅するためです。

3-2.取引終了時説

2つ目の考え方が、取引終了時説です。

これは、過払い金が発生していても返済中は時効期間が進行せず「完済した時点から全部の過払い金の時効が進行する」という考え方です。

個別に過払い金の時効が進行することはなく、完済時から「まとめて」時効の進行が始まります。完済時=取引終了時なので、取引終了時説と言われます。

たとえば、平成15年1月に過払い金が発生したとしても、平成20年12月まで取引をしていたのであれば、平成20年12月から全ての過払い金について、10年間の時効計算が開始されます。

そこで、平成30年12月までは、平成15年1月分からのすべての過払い金請求をすることができます。平成29年6月の時点でも、全額返還請求することができるので、先ほどの個別説と比べると、消費者にとって極めて有利になっていることがわかります。

もちろん、この取引終了時説を主張していたのは消費者側でした

3-3.判例の考え方

個別説と取引終了時説の争いについては、既に最高裁の判決によって決着がついています。

平成21年1月22日の最高裁判決は、消費者側に有利な「取引終了時説」を採用しています。

その後の判例も全てそれに従っています。そのため、過払い金の時効の起算点が完済時(取引終了時)であることに争いはありません。

過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた人は、「完済時から」10年以内であれば、全額の過払い金返還請求をすることができます。

反対に、「完済時から10年以上が経過している場合」には、基本的に時効消滅により請求することができなくなります。

そこで、過払い金があるかも?と思う方は、早めに手続きをする必要があることに間違いはありません。

3-4.「充当合意」という考え方によって取引終了時説が採用された

最高裁は、なぜ個別説ではなく取引終了時説を採用したのでしょうか?

ここで重要なのは、「充当合意」という考え方です。

充当合意とは、過払い金が発生した場合、その後返済すべき借金が発生したら当然に発生した過払い金を充当して返済する、という考え方です。

たとえば、平成15年1月に2万円の過払い金が発生したとします。その後平成15年2月に2万円借りたら、当然に過払い金からその2万円を支払うことになります。

その後また返済をして、2万円の過払い金が発生します。そして平成15年3月、1万円借りたとしたら、当然に発生した過払い金からその1万円を支払い、残額は過払い金1万円となります。

このように、過払い金が発生すると、古いものから順々に借り入れに充当されていくので、古い過払い金は自然にどんどんなくなっていき、比較的新しい過払い金だけが残っていきます。

このように、過払い金充当合意がある場合、新たな借り入れが発生する可能性がある限り、過払い金が発生しても「充当されるのを待っている」状態となります。

そのため、債務者は実際に相手に過払い金請求をしてお金を返してもらうことができません。
取引が継続している限りは、債務者が過払い金請求をするのは現実的ではないのです。

債権の時効が進行するためには「債権を行使できる状態」にならないといけません。

つまり、新たな借り入れをする可能性がなくなる(取引が終了する)までは、過払い金請求権を行使することができないのですから、時効は進行しないのです。

過払い金請求をできるようになるのは、新たな貸付が発生しなくなるタイミングですから、それはイコール完済したときです。

このような充当合意の考え方にもとづいて、最高裁判所は消費者に有利な取引終了時説を採用したのです。

4.「取引の分断」がある場合の考え方

4-1.取引の分断とは

過払い金の請求期限を理解しようとするときには「取引の分断」についても知っておく必要があります。

取引の分断とは、借金をいったん完済し、その後再度借り入れをすることです。

1回目の取引と2回目の取引との間に時間があいている場合、取引が2つに分かれているので「取引の分断」といいます。
取引の数は2回に限らず、3回や4回でも同じですが、ここではわかりやすいように2つの取引がある場合を例にして説明します。

このように、取引が複数に分かれている場合、2つの取引を一連のもの(1つ)と取り扱って良いのか、それとも個別に分けるのかが問題です。

というのも、一連の取引と考えたら、一度目の取引において発生した過払い金の時効は、2度目の取引が終了したとき(完済したとき)から進行します。この計算方法を、「一連計算」と言います。

これに対し、別々の取引と考えたら、一度目の取引において発生した過払い金の時効は、1度目の取引が終了したとき(完済したとき)から進行します。この計算方法を「個別計算」と言います。

この2つを比べると一連の取引として考える「一連計算」の方が、時効の期間が長くなり、権利が消滅しにくくなるのです。

4-2.取引の分断の例

わかりやすいように、例を挙げてご説明します。

たとえば、平成7年から借金を利用していて、平成15年1月から平成17年2月までの間、過払い金が発生していたとしましょう。これを第一取引とします。

そして、第一取引では、平成17年2月にいったん完済します。その後、平成17年8月に再度借入をして、平成24年3月まで取引していたとします。これを第二取引とします。

このとき、第一取引と第二取引を一連の取引だと考えて「一連計算」をすると、過払い金の時効の起算点は、全体として平成24年3月からとなります。

ですので、その10年後の平成34年3月まで、全体の過払い金を請求できます。
つまり、平成15年1月から平成17年2月まで発生していた第一取引にもとづく過払い金も、平成34年まで全額請求することができるのです。

これに対し、取引の分断があるので別々の取引であると考えて「個別計算」をすると、第一取引の分の過払い金の時効起算点は、完済時である平成17年2月からです。

そこで、平成27年2月には、第一取引にもとづく過払い金は時効消滅してしまいます。今は平成29年ですから、すでに返済出来なくなっているということになります。

つまり、個別計算の場合、今請求できるのは、平成17年8月からの第二取引にもとづく過払い金だけですから、一連の取引と考える場合よりも大きく過払い金の金額が減ってしまうのです。

4-3.取引の分断は、どのように判断するの?

個別計算の方が業者にとっては有利ですから、過払い金請求をするときに、いったん完済をして空白期間があると、業者は必ず取引の分断を主張して個別計算をしてきます。

ただし、空白時期があるからと言って、必ずしも分断されるとは限らず、一連計算できるケースもあります。

それでは、一連の取引と考えるのか、分断された別々の取引と考えるのかについては、どのような基準で判断されるのでしょうか?

基本契約が1つのケース

まず、基本契約が1つである場合には、1つの取引と考えて良いです。

たとえば、消費者金融との間で基本契約書を締結し、それにもとづいて借り入れと返済を繰り返す場合です。

この場合には、いったん完済をしてその後借入をしても、取引を一体と捉えて一連計算できる可能性が高いです。ただし、完済してから次の借り入れまでに、数年以上の期間が空いていると、1つの基本契約に基づく借金でも別の借り入れだとみなされるケースもあります。

基本契約が異なるケース

次に、基本契約が同じでないケースでは、以下の7つの点を総合的に考慮することで、取引が一連か分断されているかを判断します。これは、平成21年1月18日の最高裁判所が出した基準です。

①第一取引の長さ
②第一取引の完済時から第二取引の借入時までの期間

第一取引の完済から第二取引までの期間が短いと、一連取引として認められやすいですが、期間が空いていると個別取引とみなされやすいです。

③第一取引の基本契約書を返還したか

第一取引終了時に基本契約書を返還していたら、第二取引とは別の取引とみなされやすいです。

④第一取引がカードによるものの場合、カードの返還または失効したか

カードを使った取引の場合、第一取引の終了時にカードを返還したり、失効させたりすると、第二取引とは別の取引とみなされやすいです。カードを継続使用した場合などには、一連の取引になりやすいです。

⑤第一取引後、第二取引までの間に業者が債務者に接触したか
⑥第二取引が行われるに至った経緯

第一取引終了後、第二取引が行われるまでの間に業者が債務者に接触して借り入れを進めた事情があったケースなどでは、一連の取引をみなされやすいです。反対に、債務者が自主的に借り入れを申し込んだ場合には、別々の取引とみなされやすくなります。

⑦第一取引と第二取引の契約条件(利率など)の異同

第一取引と第二取引の契約条件が同じかほとんど同じなら一連の取引とみなされやすいですし、違っていたら個別の取引とみなされやすいです。

最近では、消費者金融も、取引のたびに基本契約書を作成しますし、基本契約書のないカードによる取引なども増えています。

そこで「基本契約書があるから一連計算できるケース」は減っており、上記の7つの基準による判断が重要となってきます。

5.時効が完成しているかどうか分からない場合は弁護士に相談しよう!

以上のように、過払い金は、いずれは時効にかかります。自分の場合も「もしかして、時効になっているのでは?」と心配になっている方がいるでしょう。

過払い金の時効は「取引終了時(完済時)から10年」とは言っても、いつ完済したのか覚えていないということもあるでしょうし、取引の分断があるから、一連計算になるのか個別計算になるのかがわからないということもあるでしょう。

その場合には、弁護士に相談してみることがもっとも有効です。

弁護士に依頼したら業者に連絡をして、これまでの取引履歴を開示請求してくれます。

これにより、完済時が明らかになりますし、分断があるかないかや、分断がある場合にはどのくらいの期間の空白があるかなどもわかります。

そして、その他の事情を確認して、一連取引になるのか個別取引になるのかを判断してくれます。

「気になるけど、今すぐじゃなくてもいいかな」「もうちょっと考えてみよう」などと考えていると、時間が経って、すぐに10年の時効が完成してしまいます。

過払い金が発生していた時期から10年が経過しようとしている今、気になっているならすぐに弁護士に相談と依頼をすべきです。

6.時効を中断する方法は?

6-1.時効の中断とは

さて、過払い金が発生していて、まだ完済後10年は経過していないけれども「完成間近」であるケースがあります。

そのようなとき、時効の完成を防ぐ方法はないのでしょうか?

実は、法律上、時効の進行を止める方法があります。

それは「時効の中断」です。

時効の中断とは、時効の進行を止めて再度ゼロから時効をカウントさせる方法です。

時効が中断されると、過払い金の時効は完成せず、中断したときから再度10年間のカウントが開始します。10年ごとに時効を中断させ続けたら、永遠に過払い金の時効を完成させないことも可能です。

6-2.時効の中断事由の種類

時効を中断させるには、いくつかの方法があります。

  • 債務承認
  • 請求
  • 仮差押、仮処分、差押え

このうち、「債務承認」とは、債務者が「債務があります」と認めることです。ただ、時効完成間近な過払い金がある場合に、相手業者がわざわざ「過払い金返還義務があります」などと認めることは少ないでしょう。

次に、「仮差押、仮処分、差押え」とは、相手の財産を差し押さえたり、仮に差し押さえて凍結させたりすることですが、いきなり相手の財産を差し押さえることはできませんし、仮差押や仮処分は、相手に対する裁判上の請求が前提となります。

そのため、過払い金請求権の時効を中断させるためには、「請求」による中断方法を利用するのがもっとも効果的なのです。

6-3.裁判上の請求

時効を中断させるとき「請求」をすれば良いのですが、この場合の「請求」は、単に口頭で「支払ってください」というだけでは足りません。

中断の効力が認められる請求は、裁判による請求です。

そこで、過払い金請求権の時効が目前に迫っているなら、相手業者に対して過払金請求訴訟を起こしましょう。

過払い金の金額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円を超えるなら地方裁判所に提訴します。

訴状を作成して裁判所に提出し、受け付けてもらえたらその時点で過払い金の時効が止まります。

時効完成前に提訴をしておけば、裁判中に時効期間が経過しても、過払い金が時効にかかることはありません。判決が出たら、確定したときから再度10年間、過払い金の時効が延長されます。

もし、判決後10年の間に支払いを受けられなければ、10年以内に再度裁判を起こしたら、再度10年過払い金の時効を延長できるので、永遠に時効を完成させないことも可能です。

裁判上の和解をした場合も、同じように時効期間が10年延長されます。

ただし、いったん提訴しても「取り下げ」をすると、裁判をしなかったのと同じ結果になってしまうので、時効の中断の効力がなくなりますので要注意です。

普通、わざわざ過払金返還訴訟を提起したのに取り下げをすることはないのですが、相手から「支払を検討するから取り下げをしてほしい」などと言われて「それならいいかな」などと考えてしまうこともあり得るので、そのようなことをしないよう覚えておきましょう。

6-4.裁判が間に合わない場合の対処方法

過払い金の時効が完成しそうな場合には、過払い金請求訴訟をするのが最も効果的なのですが、裁判は、「今日思いついて明日提起する」というわけにはいかないものです。

準備のために時間がかかるのですが、裁判の準備をしているうちに10年が経過してしまう、ということもあるでしょう。

このように、裁判が間に合わない場合には、とりあえず相手に対し「内容証明郵便」を使って、過払い金の請求通知を送りましょう。

この方法を、法律上は「催告」と言います。

催告をすると、とりあえず6ヶ月間だけ時効期間を延長してもらうことができます。その6ヶ月の間に裁判をしたら、確定的に時効を中断することができるのです。

ただ、催告が認められるのは1回だけなので、催告を繰り返すことによって時効の完成を止めることはできません。また、催告をしても、6ヶ月以内に裁判をしない場合には、やはり時効中断の効力はなくなります。

また、催告をするときには、必ず「内容証明郵便」を利用しましょう。

内容証明郵便とは、相手に送ったものと同じ写しが郵便局と差出人の手元に残る郵便です。確定日付も入りますし、「配達証明」というサービスをつけると、相手がいつ受けとったのかまで明らかにわかります。

そこで、内容証明郵便を使って送ると、相手が「催告を受けていない」と言い逃れをすることができなくなるのです。

普通郵便だと、不着などの事故もあるので、確実性を期したい場合には、必ず内容証明郵便を使うべきです。

7.時効消滅していたら、絶対に請求できないのか?

それでは、完済後10年が経過していたら、もはや絶対に過払い金請求をすることはできないのでしょうか?

実は以下で紹介するケースでは時効が消滅していても過払金請求できる可能性があります。

7-1.不法行為が成立する場合

完済後10年が経過していても、業者の取り立て行為が「不法行為」になる場合には、過払い金請求できる可能性があります。

たとえば、業者が脅迫をしたり、深夜や早朝に電話をしたり、家に押しかけてきて帰ってくれなかったり勤務先に嫌がらせの電話をかけたりなどして、無理矢理お金を返済させた場合などです。

こうした無茶な取り立てをすると、その業者の行為は不法行為となります。そして、その不法行為にもとづいて支払をして過払い金が発生しているのですから、過払い金は、不法行為による損害です。

不法行為の時効は「損害の発生を知ってから3年」です。

過払い金の発生を知るのは相手から取引履歴の開示を受けたときなので、その時点から3年間、相手に対して過払い金請求ができることとなります。

【不法行為による時効後の請求例】

わかりやすいように、例を出して説明していきます。

平成15年から過払い金が発生して、平成18年5月に完済した人がいるとします。ただ、業者による取り立てが強硬で、脅しの電話など、いろいろと相当性を欠く嫌がらせを受けていて、債務者は精神的に疲弊して、無理矢理支払をしている状況でした。

平成29年5月、債務者が弁護士に依頼して取引履歴を取得し、過払い金が発生していることを知りました。

この場合、完済後10年が経過していますが、業者の行為が不法行為となり、時効起算点は取引履歴の取得時になるので、平成29年5月から3年間、平成32年5月までは、相手に対して過払い金請求ができることとなります。

7-2.相殺する場合

もう1つの方法は、過払い金を「相殺」に使う方法です。

過払い金請求権が時効にかかっていると、その権利を行使して過払い金を返してもらうことはできませんが、反対債務があるなら「相殺」によって反対債務を消滅させることができます。

反対債務とは、こちらが相手に支払わないといけない債務のことで、具体的には相手から借りている借金があてはまります。

つまり、過払金と自分の借金を相殺できるということです。

相殺は、「今相殺できる状態」ではなくても、「過去に相殺できる状態」であったなら、実行することができます。

法律では、債権が時効にかかっている場合であっても、時効消滅前に相殺が可能な状態であったのであれば、相殺に使うことは可能とされているためです。

たとえば、平成15年1月から平成18年6月までの間に過払い金が発生して、その金額が30万円になっていたとします。

今は平成29年ですから、過払い金請求権自体は時効消滅しており、この30万円を返してもらうことはできません。
ただ、債務者が、完済後新たに借金をして、平成23年5月の時点において、50万円の返済義務を負っていたとしましょう。

この平成23年5月の時点では、30万円の過払い金は時効にかかっておらず、請求できる状態です。

そこで債務者は、過払い金と借金を相殺して、平成23年5月の時点の借金を20万円(50万円-30万円)に減らすことができます。

平成29年であっても、こうした相殺の意思表示はできる、ということです。

ただし、相殺ができるためには、こちらの返済すべき借金を「一括返済」すべき状態になっている必要があります。

相殺は、お互いの債務が「支払い義務がある状態」でないといけないのですが、分割払いをしている状態では、分割の分しか支払い義務がないためです。

たとえば平成23年5月の時点で未払分が3万円あったらその3万円は相殺できますが、未払分がなければ相殺はできないのです。借金残高が50万円でも、50万円全額を相殺の対象にすることができません。
このような考え方は、消費者にとって厳しいものですが、最高裁の考え方ですので、受け入れるしかありません。

ただし、この考え方によっても、借金を滞納して一括払いしなければならない状態になっていたら、お互いの債務が「支払い義務がある状態」になるので、相殺することができます。

先の事例の場合には、借金を完済したのが平成18年6月ですから、平成28年6月までは30万円の過払い金を請求できる状態です。
そこで、それまでの間に借金を滞納するなどして一括返済が必要な状態が発生したら、30万円の過払い金請求権を主張して、30万円分の借金をなくしてもらうことができます。

反対に、平成28年7月以降に借金を滞納して一括請求された場合には、過払い金を相殺に使うことができないことになります。

少し難しいところですが、押さえておきましょう。

以上のように、借金の完済から10年が経過していても、過払い金請求をできるケースがありますし、相殺に使って借金を減らす方法もあります。

過去に消費者金融から借入をしていた場合には、時間が経過していても諦めるのは早いです。

まとめ

今回は、過払い金請求ができる期限と注意点について、解説しました。

過払い金請求権は、基本的に完済後10年で時効消滅してしまいます。

世間で過払い金が多く発生していたのは、今からちょうど10年程度前ですから、今後ますます多くの過払い金が時効消滅していくことでしょう。

ただ、不法行為が成立する場合には10年が経過していても請求できるケースがありますし、相殺に使って借金を減らすことができるケースもあります。

過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していて、自分にも過払い金があるかもしれないと思っている方がいるなら、考えている時間がもったいないです。

時効消滅前の過払い金請求訴訟をしたら、時効消滅を防ぐことができるので、とにかく早めに、債務整理に熱心に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。

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