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自己破産でやってはいけない!詐欺破産について詳しく解説   

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自己破産をすると、借金返済をしなくてよくなるので、借金がかさんで返済出来ないときには非常に役立ちます。

しかし、自己破産をするとき注意しないと「詐欺破産罪」という犯罪になってしまい、処罰されるおそれがあります。

詐欺破産罪は、どういった場合に成立し、どのような処罰内容となっているのでしょうか?

今回は、自己破産するときに注意したい「詐欺破産罪」について、解説します。

1.詐欺破産とは

「破産する人が詐欺をしたら、詐欺破産なの?」と考えることが多いかもしれません。

間違いとまでは言えませんが、正確ではありません。

詐欺破産とは、破産者が債権者を害する目的を持って財産を隠す行為や、第三者が債務者の財産を取得する行為などのことです。

より簡単な言い方をすると、破産するときに財産隠しなどの債権者を害する(困らせる)行為をすると、詐欺破産罪が成立します。

自己破産をすると、借金の支払いをしなくてよくなりますが、その代わり、債務者の財産はすべて債権者に配当しなければなりません。

そこで、財産を守るため、裁判所にきちんと報告せず、隠そうとする人もいますし、中には債権者を困らせてやろうと持って財産を壊してしまう人もいます。

また、財産隠しに協力して、債務者から財産を譲り受ける人もいます。

このようなことがあると、公正に破産手続きを進められなくなるため、行為者を詐欺破産罪として処罰しています。

そこで、自己破産をするときに詐欺破産罪に該当する行為をすると、刑事裁判になったり有罪判決を受けたりするおそれがあります。

1-1.詐欺罪と詐欺破産罪の違い

ここまで聞いて、「普通の詐欺罪と詐欺破産罪と、何が違うの?」と思われるかもしれません。以下で詐欺罪と詐欺破産罪の違いについて説明します。

●詐欺罪

通常の詐欺罪は、刑法に規定されています(刑法246条)。これは、人を騙すことにより、財産を交付させたり債務を免除させたりする行為です。

たとえば、人を騙してお金や不動産を取ったり、人を騙して「もう借金を払わなくて良いよ」と言わせたりすることが、詐欺罪です。

詐欺罪の場合、積極的に人を騙し、騙された人が財産の交付や債務免除などの一定の行為をすることが必要となります。

また、詐欺罪の主体(罪を行う人)となるのは、通常一般の人すべてです。年齢も性別も職業も借金の有無も関係ありませんし、法人も詐欺罪の主体となります。

●詐欺破産罪

これに対し、詐欺破産罪は、破産者が財産を隠したり毀損したりしたときや第三者がそれに協力したときに成立する犯罪です。

そこで、犯罪の主体になるのは、通常一般の人ではなく、破産者やその協力者に限定されます。また、破産者の行為は、相手を騙すことではなく、財産を隠したり壊したりすることです。

さらに、詐欺罪では被害者が「財産を交付」することなど一定の行為が必要ですが、詐欺破産罪では、被害者が何らかの行為をする必要はありません。
 

以上のように詐欺罪と詐欺破産罪は、名前はよく似ていますがまったく異なる犯罪ですので、まずは押さえておきましょう。

2.詐欺破産罪が成立する要件

ではどのような場合に詐欺破産罪は成立するのでしょうか?

詐欺破産罪に該当する行為(破産法265条1項各号)は、以下のとおりです。

  • 財産を隠したり、財産を壊したりすること
  • 財産の譲渡や債務負担を仮装すること
  • 債務者の財産の状況を変えて、価値を下げること
  • 財産を債権者の不利益になるように処分すること
  • 債権者に不利益になるような債務をあえて負担すること
  • 債務者の財産を取得したり、第三者に財産取得させたりすること

詐欺破産罪が成立するためには、「債権者を害する目的」が必要です。債権者を害する目的とは、債権者を困らせてやろうという意図です。

上記に該当する行為をしたとしても、債権者を害する意図がなければ、犯罪にはなりません。

たとえば、過失で骨董品などの財産を壊してしまったとしても、詐欺破産罪にはなりません。

以下で、1つ1つの詐欺破産行為について、確認していきましょう。

2-1.財産の隠匿(隠すこと)・損壊(破産法265条1項1号)

財産の隠匿(隠すこと)や損壊は、代表的な詐欺破産行為です。債権者を害する目的で、債務者の財産を隠したり、壊したりすると、詐欺破産罪が成立します。

たとえば、預貯金や生命保険を解約して現金に換えて隠したり、所有している骨董品や貴金属などを壊したりするケースです。債権者を害する意図がある場合にのみ犯罪となります。

2-3.財産の譲渡や債務負担を仮装(破産法265条1項2号)

仮装とは、「見せかける」ことです。債権者を害する意図を持って財産を譲渡したり、債務負担したりしたように見せかけることも、詐欺破産罪となります。

たとえば、自己破産直前に契約書を作成し、不動産を第三者に売却してしまったように見せかけたり、実際にはお金を借りていないのに、新たにお金を借りたかのような借用証を作成したりすると、詐欺破産罪となります。

譲渡によって債務者の財産が減ると、その分は債権者に配当する必要がありません。また、債務者が新たに債務を負担すると、新たな債権者への支払いが必要になるため、従来の債権者への配当金を減らすことができます。

本当は財産を譲渡していないのなら、財産は破産者の手元に残るので、破産者は財産譲渡を仮装することで、その財産を守ることができるのです。

そこで、破産者は実際には譲渡や債務負担をしていないのに、そのようなことがあったかのごとく見せかけることがあります。そのような詐害行為は許されないため、破産法によって禁じられています。

2-4.財産の現状を変えて価値を低下させる(破産法265条1項3号)

債権者を害する意図を持って、財産の状況を変えて価値を下落させると、詐欺破産罪となります。この犯罪が成立するためには「財産の状況を変える」ことが必要です。

たとえば、貴金属を傷つけて価値を下げた場合や、更地の土地上に建物を建てて土地の価格を下落された場合などには、この犯罪が成立します。

2-5.財産を不利益になるように処分、不利益な債務を負担(破産法265条1号4号)

破産者の財産が減ると、債権者への配当金が減ります。また、新たに債務を負って債権者が増えると、既存の債権者への配当が減ります。

債務者の中には、財産を隠そうとまではしないけれども、債権者に配当をすることを嫌い、嫌がらせ目的で、財産を不利益な条件で処分してしまうことがあります。

また、債権者に不利益となるような債務をわざと負担することもあります。

つまり、新しく債務を負担すると、今までの債権者に対する配当が減るので、今までの債権者に不利になるのです。

2-3の仮装と異なるのは、財産の処分や債務負担が仮装ではなく現実だということです。

つまり、債権者に不利益に財産を処分したり債務負担したりすると、たとえその内容が真実であっても(仮装していなくても)詐欺破産罪となってしまうのです。

たとえば、不動産を無償で親族に贈与してしまうことや、相場よりも著しく低い価格で売却してしまうこと、自己破産直前に不必要に高額な借金や高利率な借金をすることなどが、この詐欺破産罪の類型に該当します。

2-6.債務者の財産を取得したり、第三者に財産取得させたりする(破産法265条2項)

この詐欺破産罪の類型は、破産手続き開始決定後や保全管理命令が発せられた後に成立するものです。

保全管理命令とは、「破産者の財産を維持するように」という、裁判所による命令です。

破産手続き開始決定や保全管理命令が下された後に、破産管財人の承諾やその他の正当な理由なしに、債務者の財産を取得したり、第三者に取得させたりすると、詐欺破産罪となります。

たとえば、破産手続き開始決定後に、破産者からあえて自宅不動産を譲り受けたり、現金をもらったりすると、この類型の犯罪が成立して処罰されます。

また、破産者が不動産を処分するのに、処分先をあっせんした場合にもやはり処罰を受けます。

3.詐欺破産罪の刑罰

詐欺破産罪が成立すると、行為者は1ヶ月以上10年以下の懲役または1000万円以下の罰金もしくはその両方を併科される可能性があります。

法人の代表者や従業員が、法人の業務や財産について詐欺破産罪を犯した場合には、法人も、1000万円の罰金刑を受ける可能性があります(破産法277条)。

4.詐欺破産罪で立件される件数はどれくらい?

実際に詐欺破産罪で立件されているのはどのくらいの件数があり、具体的にはどのようなケースなのでしょうか?

まず、件数については、年間20件~30件程度です。その中でも、起訴されて刑事裁判になるのは1ケタ台であり、年々減少傾向にあります。

このように、立件数や起訴される件数が少ないことからもわかるように、詐欺破産罪で立件されるのは、動機や手口が相当悪質な事例に限られます。

たとえば、自宅やその他の不動産があるときに、第三者に協力してもらって名義だけをその第三者に変更し、無事に免責が降りた後に名義を戻そうと画策するケースなどです。

これに対し、倒産寸前の会社が、運転資金を捻出するために、商品を通常価格より極めて低い価格でたたき売りしてしまったようなケースでは、詐欺破産罪に問われることはないでしょう。

以上のように、詐欺破産罪は、そう頻繁に成立するものではないので、自己破産をするときに過剰に心配する必要はありません。

5.詐欺破産罪になると免責を受けられない

詐欺破産罪が成立すると、刑罰を受けるおそれがありますが、それ以外にも大きな問題があります。それは、免責を受けられなくなるおそれがあることです。

免責を受けられないと、借金がなくならずそのままになってしまいます。

詐欺破産罪の行為は、財産隠しや債権者に不利益になるような債務負担などです。こういった行為は、破産法の免責不許可事由になっています。

免責不許可事由があると、自己破産をしても免責を受けることができず、借金をなくしてもらうことができません。

多少の免責不許可事由があっても、裁判所が裁量によって免責できるという裁量免責によって免責してもらえることもありますが、悪質なケースでは、裁量免責も受けることができません。

ただし、詐欺破産罪として立件されない程度のケースでも、免責不許可事由として評価されてしまうおそれは十分にあります。

自己破産をするときには、財産隠しや毀損、債務負担などの詐害行為は決して行わないことが重要です。

6.詐欺破産罪の協力者も処罰される

詐欺破産罪に該当する行為をすると、破産者のみならず協力者も処罰されることがあります。

破産法265条2項の犯罪(破産手続き開始決定後の財産譲り受け)の場合には、そもそも第三者が関与する類型ですが、それ以外のケースでも、第三者が処罰される可能性があります。

それは、破産法265条1項4号の、財産の譲渡や債務負担のケースです。

この場合、債務者に協力して、財産を譲り受けたり債権者となったりした人も、破産者と同様に処罰されてしまいます。

ただし、第三者が処罰されるのは「協力者」としてのことですから、破産者の不当な意図を知っていることが必要です。

何も知らずに財産を譲り受けたり債権者となったりした場合、第三者が処罰されることはありません。

7.詐欺破産罪以外の破産犯罪とは?

詐欺破産罪以外にも、破産者に成立する可能性のある犯罪(破産犯罪)があるので、以下で確かめておきましょう。

もし、詐欺破産罪にならなくても、他の破産犯罪が成立したら、罰を受けたり免責を受けられなくなったりするおそれがあるからです。

7-1.説明及び検査の拒絶

破産者が、破産管財人や裁判所から説明を求められたときや調査を求められたとき、説明や検査を拒絶したり虚偽の説明をしたりすると、犯罪が成立します。
この場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはそれらの併科となります。

7-2.重要財産開示拒絶

破産者が、破産管財人や裁判所から財産開示を要求されたときに拒絶すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはそれらの併科となります。

7-3.業務や財産状況に関する資料隠滅

破産者が、その業務や財産状況に関する資料を隠したり偽造・変造したりすると、犯罪が成立します。変造とは、すでにある文書に手を加えて別のものに作り変えることです。刑罰は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金あるいはそれらの併科です。

7-4.審尋における説明拒絶

債務者が、裁判所で審尋(裁判所から質問を受ける手続き)を受けるときに説明を拒絶すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金あるいはそれらの併科となります。

7-5.破産管財人等の職務妨害

債務者が、偽計や威力を用いて破産管財人の職務を妨害すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金あるいはそれらの併科となります。偽計というのは騙したり誘惑したり、人の思い違いや不注意を利用することです。威力とは、暴力を振るったり脅したりして、威勢を見せつけることです。

以上のように、詐欺破産以外にも、破産手続きに協力しない場合や妨害した場合などには破産犯罪が成立するので、くれぐれもこういった行為をしないようにしましょう。

罰金
罰金は、刑罰です。犯罪を犯したときに科されるもので、裁判所によって刑罰として言い渡されます。罰金刑を受けると、前科がつきます。

過料
過料は、国や地方公共団体による行政罰です。刑罰ではないので、前科にはなりません。

8-6.破産犯罪を行った場合も、免責を受けられなくなる

詐欺破産罪以外の破産犯罪を行った場合にも、免責不許可事由に該当する可能性が高いです。

免責不許可事由には、以下のようなものがあるからです。

  • 業務や財産状況に関する資料を隠す、偽造、変造したこと
  • 破産手続内で裁判所が行う調査で、説明を拒絶したり虚偽の説明をしたりすること
  • 不正の手段によって破産管財人や保全管理人等の職務を妨害したこと

上記のような行為をすると、破産犯罪者となって罰則が適用されるだけではなく、免責を受けられなくなって借金も残ってしまうおそれがあるので注意しましょう。

まとめ

以上のように、自己破産をするときには、一定の行為を行うと詐欺破産罪やその他の破産犯罪者になってしまうおそれがあります。そこで、そういった問題を起こさないよう、慎重に対応しなければなりません。

詐欺破産罪は、そう簡単に成立するものではありませんが、悪質なケースでは立件されて処罰を受けている例もあります。また、財産隠し等をすると、免責不許可事由に該当して、免責を受けられなくなるおそれがあります。

安全に自己破産の手続きを進めていくためには、法律のプロである弁護士に相談をして、アドバイスを受けながら進める方法がベストです。

これから自己破産しようと考えているなら、まずは一度、債務整理に力を入れている弁護士事務所に連絡をして、無料相談を受けると良いでしょう。

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