債務整理をしたい方

債務整理を行う前に必ず知っておきたいデメリットについて

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
demerit

借金を返せないから債務整理も考えているけど、

家族や職場に知られてしまうのではないか
家の物を全て持っていかれてしまうのではないか

といった不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

債務整理とひと言で言っても主なものとして、「任意整理」「自己破産」「個人再生」があり、あなたがどのような手段を取るかによって発生するデメリットも異なってきます。

ここでは,債務整理について基本を理解するとともに、債務整理をすることでどんなデメリットがあるのか,についてご説明していきますので参考にしてみてください。

※本記事では、債務整理の中でも使用頻度の高い「任意整理」「自己破産」「個人再生」についてのデメリットを紹介しています。他の債務整理の手段については借金の債務整理を行う6つの方法をご覧ください。

1 債務整理とは

月々の返済が苦しくなってくると頭をよぎるのが「債務整理」ということばですが,ひとくちに債務整理といっても,その内容は様々で,発生するメリット,デメリットも様々です。

そこで,本記事のテーマである「債務整理のデメリット」を検討する前に,自身のとるべき債務整理がどのようなものなのかについてイメージを持っておく必要があります。
まずは各手続きの大体の内容をみておきましょう。

主な債務整理としては①任意整理,②自己破産,③個人再生の3つがあります。

①任意整理は,債権者と交渉して分割の返済,今後の利息を0にしてもらうものです。
②自己破産は配当できる財産があれば配当した上で,借金を0にしてもらう(これを「免責される」といいます。)手続きです。
③個人再生は,借入総額を減額し(例えば,300万の借金があれば100万円程度まで圧縮されます。),それを原則3年で返済する手続きです。

①は,債権額はそのままで(※),債権者と話し合いをして,返済の方法を決めるものですが,②③は債権額自体を,債権者の意向に関わりなく減らせる(破産の場合は0にする)ものなので,裁判所に申し立てをして減額,免責の許可をもらう必要があります。

※よくCMで言われている「借金が減る」というのは,過去に払い過ぎた利息がある場合に「引き直し計算」というものをすることで,裁判所を通さなくても,借金の総額が減ることがあるということです。

以上のような,これまでどおりの返済が難しくなったときにとる手段の総称を「債務整理」と呼びます。

次に各手続きに共通するデメリット、そして手続きごとに異なるデメリットについて確認していきます。

この章のポイント
・任意整理
借金の総額は変わらない。債権者との交渉で,月々の返済額と将来の利息をカットを目指す。

・個人再生
借金の総額を減額。裁判所を使った手続になる。

・自己破産
借金を0にする。裁判所を使った手続になる。

→それぞれ内容が違うため生じるデメリットは様々である。

2 共通するデメリット

債務整理をするということは,債権者から見れば,約束どおりの返済ができなくなった,つまりその人は経済的な信用がなくなってしまったということですから,債権者は,その情報を他の債権者と共有しようとしますし,できるだけ貸したお金を回収しようと考えます。

この観点から,上記いずれの手続きを取った場合でも次の3つのデメリットは発生します。

2−1 信用情報への事故登録されてしまう

いわゆる「ブラックリストに載る」という状態になります。
債務整理をしたら,約5年間は,新しくカードを作ったり,キャッシングをしたり,ローンを組もうとする場合の審査に通りにくくなります。

ですので,近々住宅ローンを組みたいから,それに先駆けて借金をスッキリさせておこうと考えて債務整理をする,というのは逆効果です(債務整理によって住宅ローンの審査が通らないということになります。)。

債務整理をする以上は,こればっかりは避けられませんので,この点は重々納得しておく必要があります。

2−2 購入物を引き揚げられてしまう

カードやローンで車や家電製品等の物を買った場合,代金が全部払われるまではその購入物の所有権はまだローン会社やカード会社等にあることがほとんどです(これを「所有権留保」といいます)。

自動車をローンで買ったときに,その車検証の「所有者」欄が購入者でなく,ローン会社や販売会社になっていることが多いのはそのためです。

これは,代金が約束どおり支払われなかった場合に,カード会社が,購入者から購入物を返してもらって(これを「引き揚げ」といいます。)売却し,その代金を残代金に充当するためのものです。

そして,債務整理をした場合もカード会社に約束どおり代金が支払われないと判断されることになりますので購入物が引き揚げられることになります。

ただ,契約上は買った物は車であれCDであれ,この所有権留保がついていることが多いですが,実際は何でもかんでも引き揚げられるというわけではありません。

一般論としては,CDや本など
引き揚げても大してお金にならないものは引き上げられる可能性が低い

逆に
自動車やバイクは,まず引き揚げられる
買ったばかりの家電は引き上げられる可能性が高い

と思っておいた方がよいでしょう。

ただ,購入した物を引き揚げられてしまうのは,「その会社に対して債務整理をした場合」です。

どういうことかというと、債務整理の内,任意整理は特定の会社だけを対象に手続きを取ることができるので、例えば次のように自動車ローンの会社(A社)についてだけ、これまでどおり返済を続けることができます。

例:
A社:200万円(自動車ローン) 【返済額】月5万円→月 5万円(これまでどおり返済)
B社:100万円(キャッシング) 【返済額】月4万円→月2万円(任意整理で返済)
C社:60万円(日用品の購入) 【返済額】月3万円→月1.5万円(任意整理で返済)
合計:360万円 【返済額】月12万円→月8.5万

そうすると、A社に対しては債務整理をしていないので、自動車ローンで購入した車については引き揚げされずに済みます。
B社、C社については任意整理をしているので、これに関しては引き揚げが行われてしまいます。

一方,自己破産と個人再生の場合には,全ての債権者を対象に手続きを取ることが法律上求められていますので,特定の会社に債務整理をするという方法はとれません。

そのため、自己破産や再生を検討される場合には,特に自動車のローンが残っていれば,原則引き揚げられてしまうと認識をしておいた方がよいでしょう。

2−3 保証人へ請求されてしまう

債務整理をした会社に保証人がついていると,当然,保証人に請求されます。

保証人に迷惑をかけたくない、というのが通常の感覚ですが,債権者側からすると約束どおりに返済をしてもらえないときのための保証人なので基本的に請求は避けられないと思った方がよいでしょう。

ただ,この場合も任意整理であれば,保証人がついている会社についてはこれまでどおり返済をし,それ以外の会社について手続きをするのであれば,このリスクは避けられます。

3 自己破産・個人再生のデメリット

ここまではどの債務整理にも共通して発生するデメリットについて説明しましたが、ここでは「自己破産・個人再生を行う際のデメリット」について説明します。

自己破産・個人再生は,債務を0にしてもらう,または借金の総額を大幅に減額してもらう手続きという性質から,特定の債権者だけを優遇してはいけない(つまり,全債権者に平等に泣いてもらう)という法律上の強い要請があります。

ですので,特定の人にだけこれまでどおり返済を続けていく,ということは認められていません。
このことから,破産・個人再生の場合は,上記2に加え,次のような不都合が生じえます。

3−1 身内や知り合い,勤務先も巻き込んでしまうこと

家族や友人,勤め先からお金を借りてしまうということもあるかと思います。
友人や勤め先だけは,お世話になっているからとか,破産することを知られたくないから,という思いから別の扱いをしたいと考えるのも気持ちとしては理解できます。

しかし,消費者金融であれ,銀行であれ,友人であれ,勤め先であれ,法律上お金を返さねばならない相手方は同じ「債権者」なので,特別の取り扱いはできません。

気持ちはどうあれ,破産すれば借りているお金は0になりますし,手続きをしていることも知られてしまいます。また,身内,知り合いへの返済もストップしなければなりません。

これを無視して,特定の人にだけ返済を続けると,それは自己破産や個人再生を進めるうえで大きな問題になり,最悪の場合,裁判所から破産,再生の許可が出ないということもありえます(※)。

ここで,そういった借り入れを隠す,ということを考える方もいるかと思いますが,破産,個人再生の場合は,司法書士,弁護士,裁判官等の専門家に資料を詳細にチェックされますので,隠し通すことは不可能と思っておいた方がよいでしょう。

さらに,隠していることがばれた場合には,正直に話さなかったことを理由に破産の許可が出ないこともありえます。事情を正直に話すことが一番です。

※破産の場合にはNGの行為がいくつかあります。NG事項にあたることをしてしまった後に破産をしようとしても,破産ができないこともあります。この点も非常に重要なので,借金の債務整理を行う6つの方法を参照してください。

3−2 同居家族に秘密にできないこと

自己破産や個人再生手続きの場合,様々な資料を裁判所に提出する必要があります。自身の生活状況や財産状況を,裁判所に説明する必要があるからです。

そして,自身の生活状況は同居人の収入状況によって影響を受けますので,同居している方の資料も必要となってくることがあります。

たとえば,預金通帳や,保険の証券等です。こういった資料収集の協力を仰ぐためにも,借り入れがあることをご家族に秘密にされている方は正直に事情を話しておく方がよいでしょう。

4 破産に特有のデメリット

最後に自己破産のみに発生するデメリットについて説明していきます。

4−1 制限職種にあたる場合,仕事を続けられない可能性がある

破産手続き中(イメージとしては裁判所に申立をしてから裁判所が免責の許可を出すまで)は警備員や士業などの一定の職業の業務に就けなくなります。

よって,制限職種に該当するお仕事をされている方が破産をしようとする場合,退職を検討せざるを得ず,手続中及びその後の収入をどうするかという点を検討しなくてはいけません

制限職種にあたるお仕事に就いていて,一定程度の収入を得られている等の理由でそのお仕事を継続する意向であれば,そのような制限のない再生手続きを検討するのが一般的です。

4−2 不動産等が処分されること

一定の財産が処分されてしまう可能性があります。処分対象としてよく出てくるのは,不動産と保険です。
不動産についてはまず処分が前提と思っておいてください。

保険は,商品によっては積立の性質をもっており,解約返戻金が発生する場合があります。いま保険を解約したときに戻ってくるお金です。
これも100万円を超える等高額な場合には,処分されることがあります。学資保険を長くかけている方などは,一度確認しておいた方がよいでしょう。

自己破産に対する一般的なイメージについて

自己破産すると,家にあるものは何でもかんでも持っていかれるとか,戸籍に破産したことが記載されるとか,家族の財産も持っていかれるとかのイメージをお持ちの方もいるかと思いますが,実際にそのようなことはありません。
破産をする必要があるのに,破産に対するありもしないマイナスイメージがあるため,次の5で述べるような状況になってしまうほうが後々大変です。上記で述べたデメリットはあっても,破産をすることも,経済的にやり直すチャンスだと考えてみてください。

5 債務整理をしないことのデメリット

返済が厳しくなったけれども,上記のデメリットのどれかが引っかかり,債務整理に踏み切れないという場合,考えられる主な手段として,

①新たに借り入れをして返済に充てる
②そのまま返済を止めてしまう

ということが考えられます。しかし、いずれもお勧めできません

①の場合,借入額がどんどん膨らんでいき,早めに債務整理をしていれば維持できていた不動産などの財産を処分せざるを得なくなることもあります。

②の場合,放置していると債権者から訴訟を起こされ,それでも放っておくと,給与や不動産,預貯金などを差し押さえられることもあります。
また,放置しているとその分だけどんどん利息や遅延損害金というものがのってきますので,返済せねばならない額も増えていきます。

法律上,借り入れは基本的には5年で時効となりますので,返済が5年以上止まっているような場合は時効で返済を免れる可能性もあります。
しかし,裁判になった場合は,判決が確定したときから10年になります。

債務整理を検討する中で,時効を待つのというのも失敗した場合のリスク(返済額が大きくなること)を考えると,基本的にはお勧めできません。

6 まとめ

各手続きのデメリットをざっと見てきましたが,具体的なケースでそのデメリットがどれくらいの深刻さをもつのかは,人によって本当に大きく変わります。
債務整理を検討されている方はこの記事で述べたことを頭に入れつつも,必要以上に考えすぎて,いたずらに債務整理を先送りにすることなく,早めに専門家に相談するようにしましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

【無料EBOOK】競売回避 完全マニュアル

ローン延滞、税金滞納の問題に対して何とかしなければいけないと考えているが、何をすれば良いのかよく分からず悩んでいませんか?
本書は、ローン延滞、税金滞納等で競売に陥った方が、


  • ・任意売却を活用して引き続き自宅に住み続ける方法

  • ・自宅を残しながら借金を最大90%カットする方法

  • ・競売を取り下げ、ローン延滞を無かったことにする方法



など、競売を回避し、あなたに大きなメリットをもたらす具体的な対策内容を詳細に解説しているものです。
ローン延滞、税金滞納の問題でお悩みの方は、本書をご活用の上、活路を見いだして頂きたいと思います。

次のページで目次を確認できます

コメントはこちらからどうぞ