債務整理をしたい方

借金の時効が成立する条件と注意すべき点について

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「借金が時効でチャラになったらいいなぁ」

「長い間返済をしてないけど、時効で借金を消せないかな?」

借金を長期間返済していない方は、そんな気持ちになることが多いのではないでしょうか?

実際に最後の支払いから5〜10年経過すると時効を迎えることができます。

しかし、時効が成立したときには、必ず「時効援用」という手続きをしないといけません。

他にも絶対に注意すべきポイントはいくつかあります。

今回は、借金の時効が成立する条件や時効成立までの流れ、時効を援用する方法、注意点について詳しく解説していきます。

Contents

1.時効が成立する条件について

1-1.借金の時効とは

借金の時効とは、借金の支払をしないまま一定期間が経過したときに、借金がなくなることです。この場合の時効は「消滅時効」という種類の時効です。

借金がかさんで返済が苦しくなったら、支払を諦めてしまう人が結構たくさんおられます。
サラ金やカード会社からの督促がうっとうしいので引っ越しを繰り返し、連絡先を隠して生活している人もいます。

このような場合、借金を返済しないまま、長期間が経過してしまうことも多いですが、そうすると、借金は時効にかかります。サラ金やカード会社、銀行などの債権者は、債務者に対し、「借金返済を請求する権利」を持っていますが、この債権が一定の年数の経過によって、消滅するのです。

1-2.借金の時効の期間

それでは、借金の時効は、どのような条件のもとで成立するのでしょうか?

まずは、借金の時効の期間を確認しましょう。時効の期間は、借金の種類によって異なります。

借金の時効期間は、原則的に10年です。

このような時効のことを、「民事時効」と言います。

ただし、営利目的を持った「商人」による貸付金の場合、「商事時効」となり、期間が短くなります。具体的には、5年となります。

株式会社は通常営利目的を持っているので「商人」です。そのため、サラ金やカード会社、信販会社などの貸金業者からの借金の場合、時効期間は5年となります。

また、銀行などの金融機関も営利目的を持っていると考えられているので、商人です。時効期間は5年です。

これに対し、個人からの借入の場合、通常は商人ではないので原則通り、民事時効が適用されるので、時効期間は10年となります。また、信用金庫や保証協会、住宅金融支援機構は商人ではないと考えられているので、時効期間は10年となります。

ただし、商人からの借入ではなくても、借入の性質自体が商事性を持つときには、商事時効が適用されます。

たとえば、個人事業者が事業のために借入をする場合の借金などです。つまり、借入目的に営利性があると、当事者が商人でなくても商事時効になるということです。その場合、信用保証協会が保証したら、その求償権の時効も5年となります。

時効まとめ

  • サラ金、消費者金融、カード会社、信販会社、銀行…5年
  • 一般的な個人、信用金庫、住宅金融支援機構、信用保証協会…10年
  • 個人事業者による事業目的借入やその保証…5年

1-3.借金の時効起算点

借金の時効の期間がわかったとしても、いつからその期間を計算するのかが問題です。

このように、時効期間の計算を開始する時点のことを、「時効の起算点」と言います。

借金の時効の起算点は、借金の最終支払日。一回も支払いをしていない場合には、借金の支払期日となります。

そこで、多くの場合には、借金の最終支払日から5年または10年が経過していたら、借金が時効消滅していることになります。

ただし、民法には、「初日不算入の原則」があります。初日不算入の原則とは、期間の計算をするときに、初日を計算に含めないという原則です。

そのため、正確に言うと、借金の最終支払日の翌日から5年または10年が経過したときに、時効が成立することになります。

たとえば、A社(サラ金)に最後に返済したのが平成24年3月31日の場合、平成24年4月1日から時効期間を計算し、5年後の平成29年3月31日の経過をもって時効が成立することになります。

以上をまとめると、借金の時効が成立するためには、以下の条件が必要です。

  • 借金の最終支払日の翌日から5年ないし10年が経過した

まずはこの基本を押さえておきましょう。

2.時効が認められないケース

借金は、上記で説明をした時効期間が経過しても、必ず成立するとは限りません。以下では、期間が経過しても時効が認められないケースを確認していきましょう。

2-1.時効の中断

時効には、「中断」という制度があります。

時効の中断とは、時効期間中に時効の期間進行が止まってしまい、期間が当初に巻き戻ることです。

借金を長期間支払っていないから時効の期間がどんどん進行していても、時効中断事由があると、進行が止まって時効の期間計算を始めからやり直すことになってしまうのです。

たとえばサラ金から借入があって、平成25年3月31日に最終支払を行ってその後支払いをしていなかった場合でも、平成27年5月15日に中断が起こると、そこから、新たに5年が経過しないと時効が完成しなくなるのです。

中断を繰り返されると、極端な話、一生時効が成立しない可能性もあるので、注意が必要です。

2-2.時効の中断が起こる事由

借金の時効が中断されるにはどのような事情があるのでしょうか?

順番に確認していきましょう。

①債務承認

まずは、債務承認です。債務承認などというと、なんだか難しそうだと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

読んで字のごとく「債務を認める」ということです。つまり、債務者が「借金があります」「確かに借りています」というと、債務承認となります。

ただ、言葉で言っただけで証拠がなかったら、相手は債務承認したと主張することが難しくなるので、書面で承認した場合に問題になることが多いです。

また、借金の一部を支払うことも、借金の存在を認めたことになるので債務承認が成立します。

元本だけではなく、利息の一部を支払っただけでも債務承認になるので注意が必要です。

たとえば、借金を長期間滞納しているときに、債権者が「少しでも良いからお金を払って下さい」「利息分の1000円だけでもいいから、とにかくお金を入れて下さい」などと言われて「それくらいならいいか」と思って支払いをすると、債務承認となって時効が中断してしまいます。

借金の時効完成を狙うなら、絶対に一円も支払ってはいけません。

②裁判上の請求

裁判上の請求も時効中断事由となります。

裁判上の請求とは、裁判手続きによって債権を請求することです。具体的には、債権者が貸金返還請求訴訟を起こすと、時効が中断されてしまいます。

また、裁判をされた場合には、時効期間も延びるので注意が必要です。

サラ金などから借入をしていて、元々の時効期間が5年のケースであっても、裁判をされて判決が出たら、判決確定のときから10年後まで、時効が延長されてしまいます。

③仮処分、仮差押、差押え

他の時効中断事由として、仮処分や仮差押、差し押さえが行われた場合にも時効が中断します。

仮処分や仮差押は、裁判前に、権利を保全するために債務者の財産を仮に差し押さえたり、債権者に仮の地位を認めたりすることです。
たとえば、裁判中に債務者がお金を隠してしまうおそれがあるときに、裁判前に債務者の預貯金を仮に差し押さえたりすることができます。

また、差押えは、公正証書がある場合や判決がある場合などに、債務者の財産や給料等を取り立てるための手続きです。給与差し押さえなどは有名ですね。

こういった仮差押や差押えなどの手続きが行われたときにも時効が中断します。

④内容証明郵便の送付と時効中断

借金を長期間滞納していると、債権者から内容証明郵便で借金の督促書が送られてくることがあります。

内容証明郵便には、時効を確定的に中断する効果はありませんが、時効を延長する効果があるので注意が必要です。

時効が成立しそうな場合、内容証明郵便を送ると、そのときから6ヶ月間、時効を延長することができます。その間に裁判を起こしたら、確定的に時効を中断させることができるのです。

時効完成直前に債権者から内容証明郵便が送られてきたら、その後債権者から裁判をされて時効を中断されるおそれが高いと言えます。

3.時効の効果を得るためには時効援用が必要!

借金を長期間返済しておらず、その間時効の中断も起こらなかった場合には、時効が成立します。

ただ、時効期間が経過しても、何もしなかったら自動的に時効の効果が発生することはありません。

時効によって確実に借金を消滅させるためには「時効援用」をする必要があります。

時効援用とは、「時効の効果を得ます」という意思表示のことです。このように自発的に時効の効果を得ようとする人だけが保護の対象となるのです。

時効期間が経過しても、時効援用前に借金の存在を認めてしまったら、時効援用ができなくなって、借金を返済しなければならない状態になってしまうのです。そのようなことのないよう、確実に早めに時効援用を行いましょう。

4.時効を援用する方法

「時効援用ってどうやってしたらいいの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。以下では、時効援用の方法を説明します。

4-1.必ず「内容証明郵便」で通知する

時効援用を行うときには、必ず「内容証明郵便」を使いましょう。

法律上、時効援用の方法に決まりがあるわけではありません。そこで、本来なら、口頭で「時効を援用します」と言ってもよさそうなものです。

しかし、口頭で時効援用をしても証拠が残らないので、相手から「時効援用をされていないから時効の効果は発生していない。お金を払って下さい」と言われたり、「時効援用する前に一部支払いを受けたから、もはや時効援用はできません」などと言われたりするおそれがあります。

そこで、時効援用は確実に証拠が残る方法で行う必要があります。

4-2.内容証明郵便とは

内容証明郵便は、郵便局がその内容を証明してくれる郵便です。

また、発送時に郵便局が日付を入れてくれるので、いつ発送したのかも明らかになりますし、「配達証明」というサービスを使ったら、いつ相手に届いたのかも明らかにすることができます。

内容証明郵便を使うと、郵便局と差出人の手元に、相手に送付したのとまったく同じ内容の控えが残ります。

そこで、後になっても「〇月〇日に確実にこれと同じ文面の時効援用通知を送った」と証明することができます。

そこで、時効援用を行うときには、普通郵便ではなく内容証明郵便を使うべきなのです。

4-3.時効援用通知書の文面

それでは、内容証明郵便によって相手に時効援用通知を送りたいとき、文面はどのようにしたら良いのでしょうか? 以下で、一例をご紹介します。

時効援用通知書

平成29年〇月〇日

東京都〇〇区〇〇 〇〇ビル〇〇〇号室

〇〇株式会社 御中

 

千葉県〇〇市〇〇

〇〇 〇〇 印

電話番号〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

 

前略 下記に記載する債務は、最終支払日の翌日から、すでに5年以上が経過しているため、時効が完成しています。

借入人氏名:〇〇〇〇(ふりがな)

生年月日:平成〇〇年〇月〇日

住所:千葉県〇〇市〇〇

当初借入額:〇〇万円

会員番号:〇〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

 

そこで、私は貴社に対し、本通知書により、上記の貸金債権について、消滅時効を援用いたします。

 

御社におかれては、本通知書の受領後、私に請求をなさることのないよう、また速やかに信用情報機関に適切な通知を行い、登録されている事故情報を抹消していただけますよう、併せてお願いいたします。

草々

時効援用通知書を書くときには、必ず以下の内容を記載しましょう。

  • 借金を明らかにする

まずは、借金を明らかに特定することが何より重要です。

せっかく時効援用を行っても、どの借金についての時効援用なのかがわからないと、まったく無意味だからです。

借金は、借入人の氏名(ふりがなつき)、生年月日、住所によって特定します。借入時と今の住所が違う場合には、借入時の住所を記載する必要があります。

また、カードやサラ金で会員番号や契約番号がある場合には、それらの情報を書いておくとスムーズです。

  • 時効が完成していること

次に、時効が完成していることを記載します。

最終弁済日がわかっていたら、「〇〇年〇月〇日」と特定しても良いのですが、わからない場合も多いでしょう。その場合「最終弁済日の翌日から、5年(10年)が経過…」と書いても大丈夫です。

  • 時効を援用すること

次に、時効を援用することを書かなければなりません。
時効援用通知なので、時効を援用することを書かないと、意味を持ちません。

「本書をもって、本件借金の時効を援用します」などと書いておくと良いでしょう。

  • 差出人(援用をする人)についての情報

差出人(援用をする人)の情報を書いておくことも必要です。時効の援用は、時効によって直接の利益を受ける人しかできないためです。本人であれば、問題なく時効援用をすることができます。

また、相手からの連絡を受けるため、差出人の電話番号、携帯電話番号なども記載しましょう。

5.時効成立までの流れ

借金をしてから時効が完成するまでの流れは以下の通りとなります。

①借入
②必要な時効期間の経過

この間、時効の中断が起こっていないことが必要です。

③内容証明郵便で、時効援用通知を送る
時効期間の経過後、援用通知前に債務承認していないことが必要です。

④借金が時効で消滅する
借金を長期間返済していないなら、今自分がどの段階にあるかを確認して、適切な対応をとりましょう。

6.時効が完成していないのに時効を援用するリスク

借金を長期間返済していないなら、時効の援用を考えるのは当然です。

ただ、相当の時間が経過していても、本当に時効が成立しているかどうかがわからないことも多いです。

もし、本当は時効が完成していないのに時効を援用してしまうと、大変な不利益を受けるおそれがあります。

以下で、具体的にどのような問題が起こる可能性があるのか、見てみましょう。

6-1.債務承認になってしまうおそれがある

最も恐ろしいのは、債務承認になってしまうことです。

時効成立前に「借金があります」と認めてしまったら、債務承認となって時効が中断します。時効援用通知を書くときに「私は御社からお金を借りていますが…」などと不用意なことを書くと、それが「債務承認」とみなされて、時効が中断してしまうのです。

たとえば、サラ金からお金を借りていて4年9ヶ月が経過したとき、本当はまだ時効が成立していませんが、あと3ヶ月で成立するはずです。

このとき、不用意な時効援用通知を送ってしまったら、時効が中断してまた新たに5年経たないと時効が成立しなくなります。

6-2.居場所がバレて督促が来る

次に、時効援用通知により債務者の今の居場所が債権者にバレるという問題があります。

時効援用をするときには、差出人の現在の連絡先や住所を記載する必要があります。

ただ、長期間借金を返済していない人は、債務者から逃げていることも多く、債権者に現住所を知られていないことが多いです。住民票を移さず、隠れて生活を続けてきたということもよくあります。

ところが、内容証明郵便に今の住所を書いてしまうことにより、相手に今の住所を知られてしまうのです。

実際には時効は完成していないわけですから、その後は相手から激しく督促を受けることになりますし、時効完成前に裁判をされてしまうことも十分に考えられます。

時効援用などしなければ督促を受けることも裁判をされることもなく、時効が成立したかもしれないのに、不用意に時効援用をしてしまったため、やぶ蛇となって大変な不利益を受けることになります。

7.時効が成立しているかどうかを調べる方法

それでは、実際に時効が成立しているかどうか、どのようにして調べたら良いのでしょうか?
以下で説明していきます。

7-1.債権者からの督促状を確認する

まずは、債権者から届いた督促書その他の書類を確認してみることです。

こうした書類を見ると、最終の入金日が記載されていることがあります。そこで、そこから5年ないし10年が経過しているかどうかを計算してみると良いでしょう。

7-2.個人信用情報の開示請求をする

そういった書類がない場合には、個人信用情報の開示を受けてみることです。個人信用情報は、個人のローンやクレジットの利用記録の情報です。

ローンやクレジットの申込み、借入額、借入日、返済日、遅延日などの情報が掲載されています。

そこで、個人信用情報を見ると、最終弁済日やそれに近い日にちを知ることができることが多いです。

個人信用情報は、3つの「信用情報機関」という専門機関で保管されています。信用情報機関には、JICCとCICとKSCの3種類があります。

JICCはサラ金や消費者金融、CICはカード会社や信販会社、KSCは銀行や信用金庫などの金融機関の加盟者が多いので、借入先に応じて開示をしてみると良いでしょう。

どこの信用情報機関でも、郵送やウェブ上、窓口などで開示請求を受け付けています(なお、KSCの場合には郵送による開示のみとなります)。

8.時効援用通知発送で、債権者に居場所がバレない方法

時効の援用通知を送るときには、差出人の住所や連絡先の電話番号を記載しないといけないので、今の自分の居場所を債権者に知られてしまいます。

せっかく夜逃げをして住民票も移さず、相手に知られずにひっそりと暮らしているのに、このようなことがきっかけで居場所を知られてしまうことは不利益ですし、督促を受けるおそれもあります。

時効援用通知を発送するとき、今の自分の居場所を知られない方法はないのでしょうか?

最も良いのは、代理人に時効援用通知発送を依頼することです。

代理人が時効援用通知を送るときには、連絡先としては代理人のものしか記載しません。

もちろん債務者の表示はしますが、そのためには借入時の住所や生年月日、契約番号などで足りるので、今の住所を明らかにする必要はないのです。

そこで、弁護士や司法書士に時効援用通知の作成と発送を依頼しましょう。その場合、債権者からの連絡はすべて弁護士等に届くことになるので、債務者が面倒な対応をする必要もありません。

また、内容的にも、債務承認にならないように配慮して作成してくれるので、万一の場合にも、時効援用通知をもとに、「債務承認した」などと言われるおそれもなくなります。

時効援用通知による不利益を避けるためには、弁護士などの専門家に依頼する方法がベストなので、是非とも一度、相談してみると良いでしょう。

9.時効援用による個人信用情報に対する影響について

時効援用をするときには、個人信用情報に対する影響も気になるものです。

まずは、時効援用をすると個人信用情報に事故情報が載るのかどうか、確認しましょう。

9-1.時効援用しても事故情報は登録されない

一般的に、債務整理をすると、個人信用情報に事故情報が登録されて、ローンやクレジットカードなどの利用ができなくなります。

時効援用も債務整理に似ているので、「援用通知を送ったら個人信用情報に事故情報が登録されるのでは?」と心配される方が多いです。

この点、時効の援用をしても事故情報が登録されることはありません。

時効を援用するということは、正式に借金が無くなるということです。これは、完済したのと同じことですから、信用情報に傷がつく理由はありません。

そこで、時効援用をしても事故情報が登録されることはないのです。

9-2.時効援用によって事故情報を消してもらえることもある

次に、時効援用によって、既に登録されている事故情報にどのような影響があるかも知っておくべきです。

借金の時効を援用しようという人は、長期間借金返済をしていないのですから、個人信用情報に延滞情報が登録されていて、いわゆるブラック状態になっていることが多いです。

ここで時効を援用すると、正式に借金がなくなるので、借金を完済したのと同じ結果になります。すると、これ以上事故情報を掲載している理由がなくなるはずです。

そこで、信用情報機関によっては、時効の援用が行われたことが判明したら、即時に事故情報を消してもらうことができます。

たとえばJICCでは、加入企業が時効援用通知を受けとり、その事実をJICCに報告したら、すぐに事故情報を消去する扱いをしています。

これに対し、CICの場合には、多くの場合、時効援用後も5年間は情報が登録され続けます。ただ、ケースによっては即時に削除されることもあるようです。

このように、信用情報機関やケースにより、時効援用によって事故情報を消してもらうことができます。

信用情報機関の情報登録や削除は、基本的に加入企業からの報告に基づいているので、情報を消してもらうためには、信用情報機関への加入企業から信用情報機関に対し、時効援用があったことの報告をしてもらう必要があります。

つまり、時効援用通知をしても、債権者が信用情報機関に報告しなければ、事故情報はそのまま残ってしまうということです。

そこで、時効援用通知を送るときには、相手に対し、信用情報機関の「情報削除依頼」を書いておきましょう。

具体的には、「本通知書の受領後、速やかに信用情報機関に連絡をして、登録情報の削除依頼を出して下さい」などと書いておくと良いです。

先にご紹介した時効援用通知書のテンプレートにも、末尾にこういった記載事項を入れています。

10.時効援用を行うときの注意点

以下では、時効援用をするときの注意点についてまとめています。時効援用の前に必ず目を通してください。

10-1.時効期間経過後も支払いをしてはいけない

まず、債権者に対する支払いの問題です。

時効期間の進行中や時効の成立後に一部でも支払いをしてしまったら、もはや時効の援用ができなくなってしまいます。

時効期間の進行中に一部の支払いをすると、債務承認となって時効が中断します。新たに時効期間が経過しないと、時効は成立しなくなります。

時効期間の完成後に一部の支払いをすると、債権者は「時効は援用せず、借金の支払いをするのだ」と期待します。

そこで、その後に時効の援用をすることが信義則違反となります。時効の成立後に一部でも支払いをしたら、もはや時効援用することが許されなくなってしまうのです。また、新たに時効期間が経過するのを待つしかありません。

つまり、時効の成立を狙うなら、時効の進行中も成立後も「とにかく一切の支払いをしない」姿勢が必要です。

10-2.「払います」と言わない、書面を作らない

時効の進行中や期間経過後に「払います」などと言わないことも大切です。

こういったことも、債務承認と判断されてしまうからです。言わないだけではなく、念書などの書面を差し入れてもいけません。このことは、時効期間進行中でも期間経過後でも同じです。

時効の期間経過後援用前に「払います」と言ったり念書を提出したりしたら、やはり信義則上時効援用が制限されてしまうからです。

そこで、時効が完成したら、余計なことをしてしまう前に、とにかく早めに内容証明郵便で時効援用をすることです。

10-3.時効成立前に、不用意に時効援用をしない

時効援用をするなら、必ず時効が成立していることを確認してから通知を送るようにしましょう。

6で説明したように、本当は時効が成立していないのに援用をすると、居場所がバレたり債務承認と言われたりして、大きな不利益を受けることになります。

リスクを避けるためには、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して、適切な方法で援用通知を送ってもらいましょう。

11.借金の時効を待つのと債務整理、どちらが良いのか?

借金を長期間返済していない人は、「このまま返済せずに時効が成立したら、借金は返さなくてよくなるから、債務整理をせずに時効の完成を待とう」と考えることがあります。

また「債務整理をした方がいいのか、時効の成立を待った方がいいのか、どちらにしようか?」と迷うこともあります。

実際、借金の時効を待つのと債務整理は、どちらが良いのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットを比べながら解説していきます。

11-1.時効を待つメリット

時効を待つには、確かにメリットも多くあります。

①借金が完全になくなる

まず、時効が成立したら、時効援用通知を送るだけで借金の返済義務が完全になくなります。
債務整理なら、自己破産しない限り(任意整理や個人再生、特定調停の場合)、手続き後に借金が残るので、支払いをしなければなりません。

②手続きが簡単で費用が安い

次に、債務整理の場合、債権者との交渉が必要になったり裁判所での複雑な手続きが必要になったりしますが、時効援用の場合、そういった手続きは不要です。

時効援用は難しくないので自分でもできますが、自分で手続きしたら費用はほとんどかかりませんし、専門家に依頼する費用も安いです。

③ブラックリスト状態にならない

さらに、債務整理なら個人信用情報に事故情報が登録されてブラックリスト状態になりますが、時効援用ならブラックリスト状態になることもありませんし、JICCの場合には、むしろ事故情報を消してもらうこともできます。

このようなことを考えると、時効援用の方が、ずいぶんとメリットがあるように思えます。しかし、当然問題点もあります。

11-2.時効を待つことの問題点

①時効は必ずしも成立するとは限らない

時効は「必ずしも期待していたようには成立しない」ことが問題です。

時効には中断事由があるためです。

債務者が承認しなくても、債権者から裁判を起こすと、簡単に中断させることができます。しかもその場合、判決確定後の時効期間は10年にまで延長されます。このように、10年ごとに裁判を繰り返していると、永遠に時効を成立させないこともできるのです。

債務者が、「あとちょっとで時効が成立する!」と思って期待していても、時効成立直前で裁判をされて、ガッカリ…ということも多いです。

②「公示送達」で裁判される可能性がある

中には、「借入先に住所を知られていないから、裁判をされる心配はない」と思っている方がいるかもしれませんが、それは間違いです。

裁判は、相手の住所が判明していなくても、行うことができるのです。その方法を「公示送達」と言います。

公示送達は、相手が住民票上の住所に居住していない場合など、相手が行方不明の場合に利用できる裁判の方法です。

公示送達を利用する場合、裁判所の掲示板に「裁判が行われています」という内容の掲示が行われるだけで、実際に債務者宛に連絡が来ることは一切ありません。それでも裁判が進んで判決が出てしまうのです。

そこで、債権者に居場所を知らせていない場合、知らない間に裁判をされて、時効を延長されている可能性が十分にあります。

最終弁済日から5年や10年が経過していても、債権者がその間に裁判を起こしていたら、時効は完成しないのです。

11-3.結局、時効援用を待つより債務整理の方が確実

このように、時効の成立を待つ方法は、非常に不確実です。滞納が長期間に及ぶと、遅延損害金も高額になってしまう不利益があります。

そのため、借金返済が苦しいなら、基本的には時効の成立を待つより債務整理をすべきです。

ただ、時効の成立まで1~2ヶ月など、本当に目前になっているなら、その間だけ待ってみるのも1つの方法です。状況にもよりますが、時効成立が半年以上先なら、債務整理をした方が確実と言えるでしょう。

自分では、時効援用を待つべきか債務整理をすべきか、判断しにくい場合には、専門の弁護士に相談してアドバイスをもらうことをお勧めします。

まとめ

今回は、借金をしている場合の時効について解説しました。借金を長期間支払っていないなら、一定期間の経過によって借金が時効消滅することがあります。

必要な時効期間が経過したら、必ず内容証明郵便を利用して、債権者に対して時効の援用通知を送りましょう。時効援用をするときには、必ず時効期間が経過していることを確認してからにすべきです。

まだ時効が完成していないなら、時効の成立を待つよりも、債務整理をした方が確実に借金問題を解決することができます。

長期間借金返済をしておらず、「もしかして時効が完成しているかも?」と気になっている方は、まずは一度、専門の弁護士に相談してみることをお勧めします。

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